「「足らぬ足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」と言うけれど」アイドルマスター シャイニーカラーズ 第3章 KSDさんの映画レビュー(感想・評価)
「足らぬ足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」と言うけれど
日常シーンでは、ロングショット・ミディアムショットが必要なカットでいちいちキャラのバストアップになるような不自然なカット割りや、尺稼ぎのようなカットが入るのは相変わらず……。
ライブシーンに関しては3Dでないととても動かせないデザインの衣装のキャラたちが元気に動いていて良かったです。劇場チューンのうるさめの音響もライブに関しては良い感じに聞こえました。
お話の着地点としては、1話の冒頭の問いの答えにはなってはいる……のかな?
さて全話通して観た感想としては、やはり画作りのためのリソースが圧倒的に足りてない。できる範囲でなんとかやりきったという感じです。
仄聞したところでは、制作にあたりゲーム版のシナリオやキャラをきちんと分析しているそうですが、モデリングの都合?で登場人物たちの家族も友達も出せず、回想シーンもできないとなると、シナリオ段階からNGにせざるを得ないシーンも数多くあったのではないかと想像できます。(その分各ユニットの描写で尺稼ぎ)
それでいて事務所内のキャラどうしの対立もない(ゲーム制作側からのオーダー?)となると、ドラマの作りようがなかったのかなと。いろんな問題をキャラクターの個性のぶつかりあいで解決する過程こそがストーリーの面白さとするなら、それが描けない以上起伏のない物語にならざるを得ません。
総じて「リソース不足なのにシナリオ上の要求事項があるフルCGアニメを作るとこうなる」の悪い例になってしまった感があります。
(先行して公開されたミリオンライブのアニメと比較すると画の情報量やキャラ描写の差が……)
ファンとしては悔しい限りで、ゲームのリリースに合わせず、さらにゲームの売上も好調な未来でアニメ化してたら全然違ってたのかも……と妄想してしまいます。(現状厳しそうですが)
プロの仕事の評価としては「ごまかしきれなかった」になるのでしょうが、他の方の感想でスタッフが叩かれてるのを読んだりすると同情の念が。
(「1st再現」とか「実在性」などのワードは心意気なのかリソース不足の言い訳なのかは私には判別できず)
劇伴の方向性についてだけはどうにも擁護できないですが……。