「トットちゃんの洗濯、毎日大変そう…(笑)」映画 窓ぎわのトットちゃん 蜷川吝塀さんの映画レビュー(感想・評価)
トットちゃんの洗濯、毎日大変そう…(笑)
今朝(2024/12/12)から2日掛けて観ました。
タイトルは知っていましたが、本を読んだ経験はなく、今回はじめてトットちゃんの世界を知ることになりました。
第二次世界大戦前の日本。自由が丘に住む裕福な家庭に生まれたトットちゃんは、天真爛漫を絵に描いたような女の子で、お嬢さまというには程遠いおてんばぶりで、毎日を自由に楽しんでいました。彼女の両親は頭ごなしに叱るようなことは一切せずに、いつも優しく見守っています。
前に通っていた学校を追われ、新しく入学した学校の校長先生も同じようなおおらかな人で、トットちゃんのキャラクターを一切否定せず、包み込むような人。
そんなトットちゃんの周りにいる大人達の姿に、現代の大人である自分は、子供達にどう映っているのかが少し気になってしまいました。黒柳家の両親や、小林校長先生の大人像がとても参考になりました。
年代としては『火垂るの墓』と同時期ですが、舞台が違い、展開が大きく異なります。
前半はユーモアたっぷりで時折笑いながら観ることができますが、第二次大戦が勃発してからのトットちゃんが、トットちゃんらしさを失ってきてしまった展開に胸が苦しくなりました。
トットちゃんがトモエ学園に入って以来ずっと仲良くしていた泰明ちゃんとの別れから、走り抜けるトットちゃんの背後に日本人の暮らしを垣間見せる構成に、アニメーターの情熱、技量を感じました。
原作者である黒柳徹子本人のナレーションは、本作にリアリティと、戦争が生み出す悲しみが感じとられ、御年91を迎える彼女の存命中に本作が完成したことには、制作に関わった関係者の皆さんには感謝しかありません。素晴らしい作品を有難う御座いました。
幼い娘と裸で入浴する父親や、男児女児入り混じって学校のプールではしゃぐ姿には流石に度肝を抜かれましたが、その時代を包み隠さずみせるには、避けては通れない場面かもしれません。
本作は是非ご家族で観て欲しい名作です。この機会に是非どうぞ👋