「丁寧に練られた、少女の世界」映画 窓ぎわのトットちゃん 由良さんの映画レビュー(感想・評価)
丁寧に練られた、少女の世界
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久しぶりに、丁寧に心情表現を丁寧に描いていた作品を見れた気がした。
物語の前半に出てきた、徹子が興奮したことで、尋常小学校を辞めさせられるきっかけになったチンドン屋が物語最後で再び出てきたことで、徹子の心情の変化をより際立たせていた。
また、学校での授業のシーンなど音楽を用いて、徹子がリズムの世界に没頭していく様も、とても軽快に描かれている。
また、その描写自体、同級生の泰明ちゃんとの関係性を描く上でも、重要なファクターになっていた。
その泰明ちゃんとから、借りた本を読んで、父親が軍歌を演奏することを躊躇う流れも、またにくい。
泰明ちゃんとの関係が、父親にも響いていくのだから、脚本の構成自体が上手くできているのではと、圧巻だった。
ただ、欲を言えば、ただ、綺麗には心情を描いているが、徹子自身のキャラクターなり、何かもっと心に引っかかる何かが欲しいなとも思った。
その辺は、これからのこの監督の次回作に期待したいと思う。
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