「心の成長物語」映画 窓ぎわのトットちゃん ぎちょーさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0心の成長物語

2023年12月26日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

黒柳さんが自分で話しているとおりADHDだと人目でわかる少女時代。

小学校を追い出され、たどり着いたトモエ学園で出会った校長先生が彼女の人生を大きく変えた。子供のあるがままを受け入れ、子供の自主性を育む教育は、画一的な教育とは対象の理想の教育像だと思いました。それを嫌味なく対比的に描いた序盤は成る程と思いました。

小児麻痺のヤスアキ君が自身の障害を気にして後ろ向きだったのを、黒柳さんが引っ張ることで前向きになっていく描写もすごく良くできてました。

縁日で買ったヒヨコが死ぬシーンで号泣し死というものを理解したシーンは、その後、ヤスアキ君が死ぬシーンと繋がっていたのかと思い、良く構成されているなと思いました。

ヤスアキ君との関わり合いを通じて、黒柳さんの心も成長していったのが分かりますし、最後に青森に疎開する際に弟が愚図り抱いているシーンで、小林校長先生が自分にかけた言葉、『良い子』という言葉を発するのは少し大人になったというシーンを現していたんだなと思いました。

全体を通じて絵が綺麗ですし、作画も素晴らしかったです。それもあって、華やかであった生活が戦争によって暗い影を落としていくところも際立っていて、色の基調も華やかさがあるものから暗いものに変わっていくのも考えて作られており、戦争の愚かしさも表現されていたなと感じました。

黒柳さんの自伝ではありますが、とても考えられた作品で秀作だと思います。今の子供たちにも見てほしい作品でした。

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ぎちょー