「ある意味原作を超えた。こんな手があったとは…。」はたらく細胞 ハセフクさんの映画レビュー(感想・評価)
ある意味原作を超えた。こんな手があったとは…。
初レビューです。
広く色んな人に見て欲しい映画だと思いましたが、むしろ原作既読勢(アニメ含む)にこそ観て欲しい映画だと思いました。
基本的な流れは体内パートと現実パートが交互に描写される構成になっており、こちらは前情報からのイメージ通りです。両者のパートのバランスは程良く、メインの体内パートの邪魔には決してなっていません。
体内で起こっている事を観客により身近に感じさせるのも狙いの1つだと思いますが、原作やアニメの「1話につき1テーマ」という、シリーズ物である事を前提とした構成と違い、1本の映画に複数のテーマを地続き的に盛り込む為に必要な手法だったのかなと観た後改めて感じました。
注目すべきは終盤の展開で、確か原作ても描かれて無かったとある病によって、物語は文字通り怒涛の展開を迎えます。原作の「ガン細胞編」にある意味一番近いかも知れませんが、この思い切ったアイデアはむしろ連載漫画という「続き物」であることが前提である原作では出せないアイデアだったのでは?と個人的に思いました。
こんな手があったとはと、心の中で思わず膝を打ったのですが、終いにはそのアイデアとシナリオそのものの出来に感動して盛大に泣いてしまった次第です。(最後のダメ押しの「手紙」が決め手でしたが、あれも赤血球の自身が働くカラダの事を思う強さを感じさせる良演出だと思いました)
肌感では実際にこの映画を観た99%の人に刺さるのではないかと感じましたが、中には「えええ…、そ、そんなぁ…」となってしまう方もひょっとしたらいるかも分かりませんので、あえての★4.5とさせて頂きました。