ソフト/クワイエットのレビュー・感想・評価
全63件中、21~40件目を表示
加速する勢いのまま転がり落ちていくようなクライム・スリラー
ワンショット風で、加速する勢いのまま転がり落ちていくようなクライム・スリラーです。
いまも身近などこかで起きているような、日常のなかにある狂気が感じられ、ちょっとしたホラー作品よりもゾッとさせられるものがあります。
胸糞が悪くなるストーリー展開ではありますが、タイトルからして皮肉が効いています。
加害者となる主人公たちは、一貫して不快で愚かに描かれています。
周囲の人々も、彼らを冷めた目で突き放しています。
偏見をもつ主人公たちはコミュニティでも肩身の狭い思いをしているのでしょう、自分たちの思想を「やさしく/ひそやかに」広げていこうと話し合います。
しかし、実際には品がなく粗暴きわまりない行動を起こしていき、じわじわとクライムサイドの沼へはまり込み、抜け出せなくなっていきます。
最後まで彼らを救いようのない人物として描いているのは、むしろ痛快でもあります。
ややホラーな気もするが、しかし述べたいところははっきりします
今年192本目(合計843本目/今月(2023年6月度)17本目)。
※ 交通機関トラブルで最初の5~7分程度が抜けています。
多くの方が書かれている通り、人種差別をテーマにした映画です。
まぁもう人種差別に関する発言はオープンすぎて、この映画がR15どころかPG12扱いでもない(なのに、なぜか「~ライル」がPG12とか謎なのが映倫)というのが不思議なくらいです。
日本ではおよそ普通には「人種差別」という論点が発生しませんが、例えば男女同権思想から発生する衝突であったり身障者差別だとかという論点程度はあろうと思いますが、それでも「いじわるされた」とか「ちょっと強く言われた」とかという程度で、映画で描かれるようなようなことにはならないはずです(「その意味では」日本は平和な国ともいえる)。
まぁ、正直なところ、この映画がPG12でもなく一般というのがある意味すごくて、「別の意味で」見終わってからむかつくというかやり場がないというか、そういうタイプの映画です。間違ってもカップル割だから行こうかとかというような映画ではないので注意が必要です。
既存の映画であえて同じタイプの映画をあげるとすれば「聖地には蜘蛛が巣を張る」になると思いますが、表現はこちらのほうが強いかなというところです。
日本はそれでも集会の自由を保障しながら、あまりにも支離滅裂であったり、他者の人権を侵害しうるようなものは規制される(ヘイトスピーチ規制法・条例など)のですが、思想良心の自由(思うだけ)は規制できませんし、集会とは言わないものの「個人対個人」でのやり取りにおいて人種を持ち出すというのは想定外で、(これもまた他の方が触れていましたが)近い将来、フィリピン・インドネシア等をはじめとして広く外国人労働者が入ってくることであろう「近い未来の日本」でこういうことが起きたらどうするのだろう…(日本では人権侵害事案は法務省なり、外国人の場合、その性質上、受け皿が行政書士になることも多いが、日本語が7割も通じない状況ではまともな判断は難しい)という「実際上の懸念」はありうるのかな、というのが個人的に見たところです。
評価としては、まぁ多くの方が述べられるように「あまりにも見た後にむかつきすぎる」という点ですが、この点はそれを意図したと考えられる「セルビアン・フィルム」と同じ趣旨で、こちらに減点していない以上はこちらもそうであり、減点なしにしています。
ただし何度も述べるように「カップルデーだから行こうか」とかというような映画では「およそもってない」ので注意です。
なお、採点においては、このような特殊な事情を扱うがために、「人によっては気分を害することがある」点は考慮したものの、本映画が人種差別を扱うこと自体は事前に予告されていたものであり、それも「多少度は超えるが、支離滅裂でもない」という点において減点なしにしています。
とても良い映画
口論の末、自滅して行くのが見ていて何とも滑稽で面白かったですね。
これはコメディですね…スリラー風味の。
この作品が怖いなと思ったのは、深層心理では白人はみんな心の中では同じ事を思ってるんじゃないのか?という気持ちがしたことです。
海外なんかを一人旅してるとそんな思いに駆られること結構あったりしたので…明らかに嫌な目つきで睨まれたりとか、普通にありますからねぇ。
でも、これは偏見ですよね。
ロンドンに行った時、道で地図を広げていたら、優しく声をかけてくれたイギリス紳士もいましたし、パリではカメラを向けたら優しく微笑んでくれた果物屋のオッちゃんとかもいました…。
この広い世界、人間色んな人がいてますわ…笑
あぁ、こわっ!笑
不快感極まることで引き込まれる
今年一番、胸糞の悪くなる不快感極まる作品でした。
それでいて、つまらないわけじゃない、というかむしろ引き込まれる、強いフィルムでした。
黒人清掃員への侮蔑の眼差しと、直接喋るのを厭い教え子にクレームを入れさせる、主人公である幼稚園教師のクソ女の描写から始まり。
鉤十字の模様の入ったパイでナチ思想にはまった白人至上主義者なのを見せつつ。
アーリア人以外全ての人種への差別的発言と行動はエスカレートする一方で、そりゃもう酷さ全開。
行き着くとこまで行くんですが、観ていると最初に恐怖を感じ、次に腹の底から湧く怒りに支配されました。
監督自身、アジア系アメリカ人の母と、ブラジル出身の父をもち、様々な差別を受けてきた人。
彼女には暴走する白人至上主義者は「どこかにいる危険な人」ではなく、「隣人としてそこにいる危険」。
その監督が今まで見て感じてきた「アメリカで起こった真実」を描くという視点で作られているので、こんなにリアリティ溢れる作品に仕上がっているのだなと。
難点は、音楽。
怖いことが起きるシーンにやたら怖さを誘導する曲を被せるので、予想が容易で身構えさせられ、意外性や驚きが半減する感じ。
この点はもったいなかった。
続きが見たい
白人保守層の一般女性のグループが、エスカレートしてアジア系の女性を襲う様を、ノンストップで描く。
リーダー格の女性はブロンドのストレートロングヘアで普段は子どもを愛する熱心な幼稚園?の教師。世間体を気にする常識人だが根っからの白人至上主義者でそのためなら息をするように嘘をつく。
彼女は仲間と教会の一室を借りて集会をしていたが教会には疎まれていて追い出され、酒屋を経営する女性と若いメンバー、その日が初日の若い女性の4人でメンバーの酒屋へ行き、お酒を選んでいると中国系の女性2人(姉妹)が入店してくる。「出て行け!」と罵ってケンカになり、客の捨て台詞が彼女達に火をつける。実は昔からの知り合いで相手が湖のほとりの高台に住んでいることもわかっているので、嫌がらせをしようと先回りして家に侵入。4人で証拠が残らないように家中を荒らしふざけていると、立ち去る前に2人が帰宅。口封じのため2人を縛り上げた上、口の中に食べ物を詰め込んだり髪にマヨネーズを塗ったり、服を脱がせたりといった、イジメのような嫌がらせをする。アジア系なので見るのが辛い。すると片方がナッツのアナフィラキシーショックを起こし、注射も間に合わず死んでしまう。残された片方も同じように倒れ込む。
4人は焦って、乗ってきた車にあったデカいバッグに2人を詰め、湖に沈めようと考える。その際、疑いが女性の自分達にかからないように、レイプの擬装をする。
罵り合いつつもなんとか死体を湖に沈めて証拠隠滅に努める4人だったが、アナフィラキシーショックを発症していない方が実は死んでおらず、湖の水面で息を吹き返したのだった。
観ている方も「もう1人は?何が原因で死んだの?」と思っており、また車内でもバッグが映るので、ラストは「やっぱりね」という感じではあるが、被害者にはNetflixの韓国ドラマ「グローリー」のように復讐してほしいと思ってしまう。
しかしまぁ彼女達が話していたように、白人とそれ以外の言い分を公平に聞き判断、捜査してくれなければ、泣き寝入りということにもなりかねないが。
映画館から逃げ出したくなるほどの恐怖
同時期に鑑賞した「聖地には蜘蛛が巣を張る」以上に後味最悪のソフト/クワイエット。
いちばんのトラウマ級映画だった。
多様性が重視される現代社会の中で、白人こそが差別されているという偏見から、有色人種や移民に反感を抱く女性たちが、過激な思想を話し合う密やかな集会から始まって、恐ろしい犯罪へと堕ちていく、ホラー映画といってもいいほど怖い作品。
全編ワンショット&リアルタイムで撮影された聞くに堪えない差別的発言と見るに堪えない暴力行為に、劇場から逃げ出したくなった。どんなスラッシャー映画でもスリラー映画でも感じたことのない恐怖だった。
標的になるマイノリティがアジア系の姉妹であり、あまりにも理不尽で酷い集団リンチを体感させられ、まるで自分がその現場に居るような、卑劣な行為を止められずにリンチに加担しているかのような気持ちにさせられる、過去いちの恐怖映画だったかもしれない。
最後はアッと驚くトリックのようだった。
4日連続で一日中カットなしの連続撮影を行い、90分のリアルタイム映像を完成させた監督も役者も尊敬するし、演じてる役者達はとんでもなく辛かったのではないだろうか。映画を作る人達ってすごいや。
これが現実だと認識せねば
21世紀も20余年過ぎているがいまだにKKKは存在しており、日本では送還すれば殺されるかもしれない難民を送還せよと法案を作り国益は人権より優先と恥ずかしげもなく国会で述べるクソ議員がおり、SDGsはただの金儲けの合言葉。長回しの緊張感は、視覚にも訴えるが聴覚へのインパクトもすごい。ほんとにソフトでクワイエットなつもりなのよ。ヤマトナデシコならぬ白人至上主義者はアーリア人の美しく清いお姫さまであり力強い同種族模範的夫との結婚と家族形成(男女アーリア人の夫婦のもと生まれた子どもがいること)家しなければならず(これもどこかの国と似てますな)、男を立ててナデシコ的フリをしながら、しかし違法行為だからやめろと真っ当なことをいう夫をコテンパンに罵倒チキン呼ばわりで、他人の人権は認めないが自分の権利は声高にハードにラウドに主張、筋肉隆々マッチョな男なんか役立たずのヘナチョコ野郎、自立して戦えるのは私たち女よ、と外国人移民への襲撃に突っ走る。某政権与党が高市とか杉田とかマッチョな差別勢力の威勢の良さも、所詮制度の中で利用されてるということもさもありなんということか。
衝動的であまりにも適当な差別行為、犯罪行為をとにかくノンストップで見せつける。
今、事態はここまで深刻に、ディープにハードに推移しており、ヨーロッパより差別勢力、差別行為、差別者の既得権益にゆるゆるなアメリカだと、こんなふうに鉤十字付きのパイを作ったりヒトラー式敬礼をしてしまったり、でもアメリカでは(日本でも)こんなこと、おふざけで通ってしまう。政権与党が世襲で議員稼業よろしく、KKKも今も家系により継がれ世間体やダイバーシティという風潮のなかより意固地に強固になっているようだ。彼らはプチエリート的な人も混じってる(ので仲間内での差別も)理想的な人生を歩めずそれを移民のせいに移民に富が収奪されていると考え自らを正当化する。そんな彼らはたぶんパスポートなんて持ってない、外国なんて行けない行かないからだ。だから移民女性の家でパスポートを探し出し、ほら移民だからパスポート持ってるんだ!と大はしゃぎする間抜けぶり。間抜けではなくまじで地獄。少しでもおふざけに巻き込まれたら、うっかりハイルしてしまうかもしれないし、いずれは白人アーリア人が数の上でマイノリティとなるかもしれない恐怖、世界の警察でも覇者でもなくな流かもしれないアメリカの焦燥から本作のようなクラブ、サークルが巨大化するかも、いやすでになんとかアノンがアメリカでも日本でも巨大化している。そしてこれらの差別者は仲間内にも外と同じく人の下に人をつくる。ギャーギャーワーワー、ドタンバタン騒音が耳をつんざくなか、ひたひたとソフトにクワイエットに私たちが包囲されていることを思い知る。
ワンショットでこれだけの作品を作るとは!
あるアメリカの片田舎で、移民や有色人種の存在やダイバーシティや多様性を日頃から鬱陶しく思っている白人女性達、本人たちは普段自分の境遇が悪いのは、逆差別を受けているせいだと思い込んでいるのだが、実は本人の資質に原因がある。集会後メンバーの経営する店でのアジア人親子とのちょっとしたトラブルが、最悪の事態に陥っていくまでを、ワンカットで描く。いつもながらこういう作り方は、何度も練習したのだろうなと、舌を巻かざるを得ない。威勢だけは良い白人女性だが、おつむと思慮が足りないので泥沼に陥っていくのが哀れではある。
なんか、こんな感じかもな
不妊治療に悩んだ奥さんが軽くナチ寄りになって、差別をして、そこに「ここで引いたらナメられる」っていう集団心理が加わって、とんでもないことしてく話なんだよね。
やってることはとんでもないんだけど「なんか、こういう人いそうだな」というのが恐いの。そう思って観てしまっている自分も恐い。
映画だから当たり前なんだけど、主人公をずっと追い掛けてくんだよね。それで差別意識のところ以外はだいたい普通の人たちなの。なので、つい、感情移入をしてしまう。犯罪が見つかりそうになる場面で「ざまあみろ」ではなく「早く逃げて」みたいな心情になった。恐い。
差別から、とんでもないことをしてしまうときって、こんな感じなのかなと思いながら観たよ。
スケープゴートとエスカレート
白人至上主義の人間が周りにいないからイメージがつきづらい。映画とかで出てくるのもネオナチっぽい屈強な男たちやKKKの白マントを被っているイメージしかない。でも、彼らも普段はアメリカ社会で普通に生活しているんだよなと本作を観ると思い知らされてしまう。
教会の一室で開かれたのは白人至上主義の女性グループの会合。幼稚園の先生してたり、スーパー経営していたり、普通に勤めていたり、見た目だけでは主義主張なんてわからない。そんな「普通の」見た目の女性たちが語る差別発言の数々。少し笑ってしまうくらい極端な意見が飛び交っていた。後半よりもむしろ前半の会合シーンが怖い。
そんな彼女たちがどんどん暴走していくという流れ。バカみたいな選択の連続ででとんでもない方向に転げ落ちていく。胸糞悪いんだけど、どうなるんだ?と目が離せなかった。
満たされない人生にはスケープゴートを求めがち。誰かのせいにする方が簡単だから。そして暴力は単独ではなくグループになるとエスカレートするということだ。似たようなことが周りで起きる可能性が十分あるからこそ怖い話なんだよな。
胸糞悪さ一級品
.
開始3分で違和感を感じ
残り約90分、ずっと不快感と嫌悪感に襲われ
珍しく途中退席しようかと思ったほど…。
.
.
最近では珍しくないワンショットですが
ワンショットで撮られていることを思うと
その緊張感が物語のソレと相まってヒリヒリと
観る側に伝わってきます。
歯止めが効かなくなった女たちのヒステリックな感じが
同じ女としてたまらなく気持ち悪くて不快極まりない
(映画としては褒めていますw)
.
.
ラストは想定内の展開になったけれど
終わり方が、これから起きるであろう展開を想像させて
不気味です。
.
.
本作が初監督作品というベス・デ・アラウージョ監督
女性ならではの視点と感性、そして自らも人種差別
される側としの経験が、本作のエミリーを生み出したかと思うと
まだまだ根強い白人至上主義社会の欧米諸国には
本当に行かれん🤣
でもね、アリエルはやりすぎだと思うのよ、Disne…(ry
パイを焼いたら鉤十字になっちゃった、てへ
白人至上主義の女性集団が引き起こすヘイトクライムの一部始終を、ワンショット撮影で切り取った超胸クソ映画。
集まって有色人種や移民に対する悪口で盛り上がっていた集団が、ふとしたキッカケで一線を超えてしまうまでがあまりにスムーズ過ぎて怖い。
この作品、ワンショットというのがミソでカットがかからない一続きの流れの中で、あれよあれよと事態がエスカレートしていく様に圧倒される。
救いのないヒドい話なのだが、最後の最後にちょっとだけホッとさせられ、後味がマイナス100からマイナス80くらいになった。
うむ
多様性とか受容とか
そういう言葉ばかりフィーチャーされるが
内実はどうなの?っていうのを
おそらく監督の経験から作り出した作品
表向きは寛容そうに見えても
裏ではまだまだ差別者が溢れてる
しかも、また時代を戻そうとしている
そんな現実にもありそうな事を
刻々と描いていた。
KKKとか出てきた瞬間、ほんと震えたよ
まだ残ってる……っていう恐ろしさ
あの人らが話してる事って自分を棚にあげた話だし
あの人らが守りたいメンツとかプライドとかで
虐げられている人たちの命が失われてるってことに
気づいているのかな。
外見至上主義、優生思想、被害者意識
その全てに失望した。吐き気した
ただ展開として、個人的には
あの白人集団の中に内通者?密告者?がいて
全部がひっくり返るような展開とか
裏切りとかが見たかったなー。
やっぱり実害が加えられるのは
見ていても苦しいよ
事実あり得る事件なのかもしれないけどさ。
でも鑑賞後、人間を大事にしないと!
っていう単純な感情になったし、
悪い映画では無いのかもしれない…。
ブラムハウスの新作。そう来ましたか!
爽やかな気分で劇場を出たい人にはお勧めしません。じつに不快な映画ですが、血がドバドバ、肉片がピューンのスプラッターではありません。普通の女性たちが、これも一種の「ノリ」なのでしょう、どんどんヤバい方向に行ってしまう話です。ワンショットで撮影されたのが売りですが、中盤までは特別にその良さは感じられませんでした。物語の終盤、ある理由で汚れた部屋を綺麗にしなければならなくなりますが、その片付け風景を延々と見せられることになります。なぜならワンショットだから省略がありません。主人公の後悔とうんざりがよくわかって、あれは並みのスプラッターより私の心がやられました。予告編でやってた同じくブラムハウスの「M3GAN」が楽しみです。あのロボット、なぜか若い頃の中谷美紀さんに似ている。
全63件中、21~40件目を表示