「Gカップ」絆のものがたり 心と心を結ぶもの カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
Gカップ
よしもとMOVIEの5つの短編映画のオムニバスでした。
テーマは絆。
ロケ地はすべて東北。
以下、勘違いや思い込み、拙い想像力に基づく記述ですから、あてになりませんので悪しからず。
【宇宙にたった二人】
娘を震災でなくした福島県いわきの水産加工場に働いている父親を二人の親友が訪ね、缶の箱に入った思い出の遺品を受けとる。「(津波で死んだんじゃなくて)宇宙船に連れていかれたんだと思うことにしている」と言って、缶の中に入っていた紙に書かれた変な呪文を唱えながら、巨大な岩の上で親友との交信を試みる。巨大な岩の場所に行ってみたい。アルバイトと間違えられて作業服とゴムの前掛けを着せられた二人がとてもかわいかった。レトルトパックのメヒカリ焼きはいいおやつ。
【この町の】
山形県南陽市の赤湯温泉の湯のまち商店街にある実家に帰ってきた橋本マナミ(山形市出身39歳)が、近所のオバサンや勤め出したスナックの知り合いだらけの客たちのおせっかい(再婚がらみ)や東京でのプライベートへの興味・関心などにうんざり顔。ちょうどコロナが流行りだした頃。町の感染者特定の噂話にうわべだけ興ずる。母親役は大島蓉子(68)突然、故郷の人たちの有り難みに気づく。橋本マナミのお化粧シーンが多め。でも薄め。ほぼほぼ年齢相応な感じを受けた。お色気もおさえ気味で、なんだか全然来ない話だった。清原果耶主演の朝ドラでよく見てた大島蓉子のふっくらしたおばあちゃんの感じにむしろ癒された。
【リフレインの鼓動】
先に逝った妹の視線で描かれる。お人形さんや座敷わらしが時空を超えて家族や知人の過去や未来を覗いているような感じを受けた。いちばん分かりにくかったが、耽美的でいちばん映画的かも。
ロケ地は温泉町やローカル線の車内など。
【変わらない。変われない。それでも、】
きれいな海岸でプロポーズして、新築の家を建てたが、プチ喧嘩から家出した際に津波で死んでしまった妻(山口沙弥加)への後悔と自責の日々を送る男を松浦祐也が好演。ほぼほぼ一人芝居だが、生前の妻の思い出シーンが画面の左、右に松浦祐也が泣いたり、暴れたりしながら3年以上も悔やみ、謝り続けるシーンが続く。浴槽に浸かって、「昨日、エッチな店に行ったでしょ」と言う山口沙弥加の色っぽいこと。佐藤二朗が上司役でちょっと出。
【遅い花】
売れない漫才コンビが山の神社での営業の仕事にありつくが、相方が遅れて来なかったのを携帯で罵倒してしまった晩に相方は交通事故で死んでしまう。ネタづくりは死んだ相方がすべてやっていて、ネタ帳のノートが大切な遺品となる。神社の神主役のロバート馬場がとてもいい味をだしていた。ポルターガイスト現象にビビるシーンには、カメ止めみたいな種明かしがシーン繰り返され、可笑しいのになんだか泣ける。唯一、よしもと色の濃い作品。卵かけご飯が食べたくなる。