「人は暖かいが どこか他人事な映像体験」風が通り抜ける道 時間ですよさんの映画レビュー(感想・評価)
人は暖かいが どこか他人事な映像体験
ハートフルな人たちのハートフルなお話でした。基本、嫌な人が出てこないです。
随所に「自然光をとても素敵に活かしたシーン」があり、すごく綺麗。雨戸を開けるシーンも外側からと内側からの異なる映像で見せていたりと、視覚的な感動が多々ありました。
すごくリアルな映像も随所に。
久々に再開した男2人が酒を飲むシーンで、ツマミがラップに包んだおにぎりなんですよね。すごくいい。
また各所に映り込む「虫」なども素敵だなぁ、と感じました。
ただ、なぜかイマイチ没入できない。
なぜだろう、と考えてみました。
まず「葛藤の少なさ」。すごく葛藤や選択が少ないので、ドラマチックな展開がないのです。基本みんないい人、基本みんなが味方してくれる。そこに苦悩がほとんどなく、衝突も甘っちょろい。なので「作り物」に見えてしまうのです。
作り物感は他の細かいところにも出てます。(時計の秒針が動いてない、など)
あと、なんていうか、ディスコミュニケーションが多い?みたいな感覚です。
作品と私の間に、距離を感じる。
シーンを変えるたびに地名を表記することの意味をどう捉えるか。旅番組を見たいのならそれでもいいのですが、映画にそれを求めている人が何人いるのか。
この映画と観客の距離を、ひき離している?ドライさ、のようなものを感じました。私にとっては、感情移入しづらい映像。
ハートフルな内容なのだから、もっと映画の中の人々と近づきたかった。
オープニングの民謡も、誰に向けての何だったんだろうか。特定の人への接待だろうか。うーん。観客が没入できるものではない、ように思えるんですよ。うーん。
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