「偏屈なシェフが、生き甲斐を見出すまで。」ウィ、シェフ! 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
偏屈なシェフが、生き甲斐を見出すまで。
フランス人シェフと未成年の移民たち。
風変わりな組み合わせですが、着眼点が面白く
良い映画でした。
有名レストランのスーシェフのカティ・マリーは、料理の仕上げでの
意見の食い違いから、シェフと大喧嘩して店を辞めてしまいます。
再就職に苦労する日々。
宣伝コピーに惹かれて応募した先は、未成年の移民の自立支援をする
施設の寮母的な調理係りの仕事だった。
厨房は不衛生で食材といえばラビオリの缶詰めばかり。
目立つのは電子レンジばかりです。
初日の昼食は待ちくたびれた30人が食べられず、施設長に
大目玉を食らいます。
しかし頑固なカティ・マリーは、自説を曲げません。
きちんと一人一人の皿に分けた、手の込んだ料理を作ります。
生徒を調理助手にするには、まずは清潔な手洗いやスリッパ禁止。
そしてマリーは率先して床磨きから始めます。
料理に魅せられて行く少年たち。
シェフになりたい・・・
料理を学びたい・・・
そう何人も思うようになります。
そして施設長のロレンゾ(フランソワ・クリュゼ)は、
調理師養成学校を開設して、移民の少年たちに就学のチャンスを
与えるアイデアを思いつくのです。
未成年の内に就学できないと、強制送還されてしまうのです。
移民の少年たちは全員本物の移民で、オーディションで
選ばれたそうです。
(自然な演技で舌を巻きました)
テレビの料理番組「コック」にカティが応募して大胆な賭けをする演出。
これは事実ではないでしょうね。
ちょっと鼻に付く演出でしたが、見せ場は作らなきゃね‼️
カティ・マリーのモデルのシェフは実際に存在していて、
危険を冒して単身フランスにたどり着いた未成年の移民たちを、
調理師として養成してフランスで安定した暮らしを手に入れるように
奮闘する 実在のシェフ、カトリーヌ・グロージャンを
モデルにしているそうです。
施設長のロレンゾには「最強のふたり」のお金持ちの障がい者を
演じたフランソワ・クルゼが、カティ・マリーにはフランスを代表する
名優オドレイ・ミラーが演じています。
感動の押し売りが無いクールなカッコいい映画です。