「ゴーストフェイスNYへ」スクリーム6 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ゴーストフェイスNYへ
ルールに乗っ取って、悲鳴は続く! 人気ホラー・シリーズ第6弾。
凶行を再開した前作がシリーズでも屈指の面白さ。リブート的新作はシリーズに新風吹き込む成功を収める事が多い。
その成功とヒットしたら即続編。あらゆるルールを踏まえてきたこのシリーズがこのルールに乗っ取って続編をやらない訳がない。
ゴーストフェイス殺人鬼が早くもまた血の惨劇を繰り広げる…!
全米では前作を超え、シリーズ最大のヒット。批評も良好。またまた日本未公開に嘆きつつも、前作の面白さからこの続編も楽しみにしていた。
さて、ズバリ感想。
今回も面白かったのは面白かった。が、前作ほどではなかったかな、と。
冒頭。お馴染みの電話トークからの殺害。ここでいきなりマスクを外す。コイツが犯人…? 否。コイツの元にも電話が。自分がやったように真犯人に殺される…。
お決まりのルール通りに始まったと思いきや、新たな展開でこれまでと違う!…と意気込みを見せつつも、いざ話が始まると活かしきれてない気がした。
ウッズボローを離れ、NYで新生活を始めたサムとタラの姉妹。そんな二人を、ゴーストフェイス殺人鬼のナイフが再び襲う…。
今回もたっぷりとホラー映画ネタ、続編あるある、メタ要素が詰め込まれているが、話自体は平凡。第1作と直接繋がりの設定を活かし、新たな登場人物による新たな物語の前作の方が話的には面白味があった。
勿論今回も姉妹愛や殺人鬼の娘としてのトラウマというドラマ要素はあるが、早くもマンネリになりつつあるような気がした。
神出鬼没のゴーストフェイス。白昼でも、自宅アパートにも。
でもそれはウッズボローという犯人にとっても住み慣れた地だからこそ出来たのであって、大勢の人が行き交う大都会NYでそれが出来るのか…? 人がごった返しているから逆にそれを隠れ蓑に出来るのかもしれないけど、コンビニでの襲撃などかなり無理ある気もした。
地下鉄のシーンはスリリング。ハロウィンの夜。多くの人々が仮装。ゴーストフェイスが巷を騒がしている事もあり、その仮装も。この中に“奴”がいる…? 大都会やごった煮の人々を巧く活かしたシーンであった。
今回のゴーストフェイス、かなり残虐。“彼ら”にはそれほどの憎悪があった…。
犯人は、3人。サムたちに協力的だった保安官、同学校の殺されたと思った女友達と童貞青年。
3人は親子。家族をサムに殺されて。
そう、3人は前作の犯人、サムの恋人であったリッチーの父と妹弟。
家族を殺したサムに復讐。ただ殺すのは生温い。サムこそウッズボロー事件の真犯人だった…というデマを作って。殺人鬼の娘としての苦しみをとことんに。
家族の復讐という動機はシンプル。意外性の犯人設定に見えて、唐突な気も…。犯人設定も前作の方がトリッキーであった。
とは言え、これまでの事件の証拠品を集めたアジトと言い、何てサイコな家族…。
前作を生き残った面々は続投。
メリッサ・バレラを始め魅力的なフレッシュ注目株たち。
中でも出世頭で、個人的に最近ご贔屓のジェナ・オルテガは前作より出番増しで嬉しい。
ジェナ演じるタラとチャドにロマンス…? ミンディのヲタトークも絶“口”調。
ネーヴ・キャンベルは諸事情で今回遂に降板するも、コートニー・コックスは引き続き。唯一のシリーズ皆勤賞。しかしゲイルにも魔の手が…。
『4』からカービイ出演。…って、誰だったっけ? そもそも『4』はほとんど覚えてねーし。
ゴーストフェイスに翻弄され、サムも「今度は奴の勝ち」と。
最後は真犯人たちに逆転するのだが、サムはゴーストフェイスの格好をして主犯を刺殺。ある意味ゴーストフェイスの勝ちのように見えて、ヒヤリともさせる。
私は父と違うと断言するも、そのゴーストフェイス姿や真犯人をめった刺し、未だ見える父の幻影、ラストシーンのゴーストフェイスに引き込まれるように…。
これらは何を意味するのか…?
殺人鬼の娘という苦しみを乗り越えるサムの物語であるが、もし今後、彼女が本当にゴーストフェイス殺人鬼になったら…?
それこそマンネリ打破のシリーズ最大の衝撃になるだろう。(主人公がダークサイドに堕ちるのも定番と言ったら定番)
しかし、本作はあくまでティーン向けスラッシャー・ホラー。エレベイテッド・ホラーではない。
通な映画的楽しみと面白味と、血と悲鳴を売りにして、次回へ続くよ。