「遠い昔はるかかなたの銀河系で......」65 シックスティ・ファイブ レントさんの映画レビュー(感想・評価)
遠い昔はるかかなたの銀河系で......
スターウォーズ同様人類が生まれるはるか前の宇宙を舞台にしたSFサバイバルアクション。
宇宙船乗組員がコールドスリープを使用してることから恒星間航行が可能なくらいの文明を持った異星人。その航行中に小惑星群に遭遇して不時着し、生き残ったパイロットと乗組員の少女が未知の惑星からの脱出を試みる。
不時着したのが恐竜たちが跳梁跋扈する太古の地球でまさにその恐竜たちを亡ぼしたとされる小惑星が地球に迫っている時期と重なり、タイムリミットが迫る中で繰り広げられる必死の脱出劇。ジュラシックワールドに不時着したらアルマゲドン的な展開が待っていたという踏んだり蹴ったりな内容でスリリングな展開が予想される。と思いきや、とにかく全編にわたって予定調和。最後まで予想通りの展開で安心して結末まで映像を眺めていられます。主人公たちはどうなってしまうんだろう、どうか生き延びて、と心配になることもなく最後まで安心してみていられます。不安障害がある方にはお勧めです、スリルやサスペンスをご希望な方にはお勧めできません。
物語はいたってシンプル。ただ脱出船があるところまで少女と共にピクニックです。途中に大きなトカゲや気持ち悪い虫とかが出てきます。脱出船は直線距離で12キロ先。ジェットパックのように背中にしょって空を飛んで移動できるマシンや、木の上を瞬時に登れる小型巻上機のようなツールがあると目的地まで難なく到達出来て話がすぐに終わってしまうので恒星間航行できる技術があるにもかかわらずそういったツールは都合よく持ち合わせてません。
物語を通して主人公が少女と心を通わせる過程を描きたいがために、言葉が通じない設定で翻訳機も都合よく壊れたとのこと。イヤホン型の小型の翻訳機なんていくらでもありそうだけど全部壊れたらしいです。
外傷などを治す手術マシーンもなく、船内で治療薬を探すのに引き出しを探ってたりします。ついつい粗探ししたくなるような観客に間違い探しで楽しんでくださいという作り手のサービス精神がうかがえて鑑賞中退屈はしません。
娘の治療のために引き受けた今回の長旅、しかし無情にもその間に娘を失い失意の主人公は救援を断り自死を選ぼうとする。しかし彼以外の生存者がいたために死ぬことはできず、自分と同じ家族を失った少女のために獰猛な巨大恐竜が蠢く危険地帯を潜り抜け、その脱出劇を通して少女と心を通わせ再生してゆく物語。そんな二人の物語に心揺さぶられることもなく私の感情バロメーターの針は一切振れることはありませんでした。故障してたのかもしれませんね。
アダム・ドライバーの馬面だけが終始気になる作品でした。