劇場公開日 2023年5月26日

「○○人も驚いた! 6500万年前の地球」65 シックスティ・ファイブ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0○○人も驚いた! 6500万年前の地球

2023年12月15日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

楽しい

単純

興奮

年に何本かバジェットはA級だが中身はB級って作品がある。
今年のその代表格は『MEG/ザ・モンスターズ2』だろうが、こちらも負けていない。

主演はアダム・ドライヴァー。プロデュースはサム・ライミ。監督は『クワイエット・プレイス』のクリエイター。
そんな一流のスタッフ/キャストで描くのは…

長期の宇宙探査ミッション中、宇宙船が隕石に衝突し、未知の惑星に墜落。乗組員ほぼ全員が死亡し、生き残ったのはパイロットのミルズ。言葉の通じぬ少女コアも。
操縦や通信などがある分離された宇宙船を探しに二人は未知の惑星を進む。
二人を襲い来るは、恐竜。ここは“恐竜の惑星”…ではなかった。
上空遥か彼方に、巨大な小惑星。
ここは、小惑星衝突寸前の6500万年前の地球だった…!

どうだ、見よ!このプロット。
B級映画専門アサイラムでやった事ありそう。でなければ、今後パクりネタにされそう。
言わずもがな、ご都合主義やツッコミ所、お決まりのような展開や「?」な行動などのオンパレード。スリルや見せ場を盛り上げる為とは言え、もうこの手の作品の定番だね。
これもこの手の作品を見る時の必須。そういう作品だと割り切って。
B級と思って見れば、頭空っぽにしてそれなりに楽しめる。尺も90分ちょっとだし。

恐竜×小惑星接近×サバイバル。
エンタメ要素充分なのに、何故既視感があるのだろう…?
恐竜はやはり『ジュラシック・パーク』。
小惑星衝突は『アルマゲドン』や『ディープ・インパクト』。6500万年前なら『ドラえもん』の映画でもあった。
でもそれらは現代が舞台だったりアニメだったり。
実写で恐竜が蹂躙する小惑星衝突寸前の6500万年前の世界というのは、よくよく考えてみればあまり無いかも…?
そんな世界でサバイバル。ある意味、この設定は秀逸。
恐竜は勿論だが、ハリウッド現代VFXを駆使して描く小惑星衝突。
迫力はあったが、ラストのみなのが残念。衝突し天変地異の中、宇宙船に間に合うかの危機一髪が欲しかった。
代わりに二人の行く先を阻むは恐竜たちだが、サバイバルがメインでちと添え物だったかな。それから恐竜の筈なのに、何だかモンスターっぽい。
恐竜を撃退する兵器。一撃で恐竜を倒す事が出来るほど強力だが、肝心な時にいつもポンコツ…。
キャストは僅か4人。開幕のミルズの妻と娘を除けば、ほぼミルズとコアの二人。
言葉は通じぬが、この絶体絶命的状況の中、育まれる擬似親子のような交流。
…を描きたかったんだろうが、これも言わずもがな、深みや感動はない。決められた定番や設定のように動くだけ。
アダム・ドライヴァーの熱演も虚しい…。

ところで、宇宙船で航行したり、SFチックなメカニックを持っていたり、ミルズたちは何者…?
ヒントは幾つもあった。
ここが太古の地球だと知らない様子。
恐竜をまるで初めて見たような驚き。(恐竜を生で見た事ある人なんていないけど、そういう意味じゃなくて)
6500万年前の小惑星衝突も知らない。
タイムワープしてきた未来人にしては…?
すでに開幕で説明されていた。
人類が産まれる遥か前に存在していた惑星ソマリスの住人。
ミルズたちは地球人そっくりの異星人だった…!
じゃあ、何故に英語…? それは言っちゃあいけません!

それが分かると、またちょっと面白くもあった。
私個人的に時々思う。
人類が未知の惑星に不時着して危機に見舞われる。
その逆もあり。
異星人が未知の惑星=地球に不時着。そこがサバンナやアマゾンだったら…? ましてや6500万年前の恐竜がいる小惑星衝突寸前だったら…?
実は地球はとってもデンジャラス・プラネット。

近大