片思い世界のレビュー・感想・評価
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果敢な企みを評す。全編退屈だが。
3人の女性が織りなす、究極の片思いと現実
あまりテレビでの番宣もしていなかったし、物語の内容は全く知らず、予告編で広瀬すず、杉咲花、清原果那と言った、若き人気女優3人のレアな共演と知って鑑賞。鑑賞前までは、監督が『花束みたいな恋をした』の土井裕泰監督であるため、女性同士の固い友情と絆、そこに恋愛を織り込んだヒューマン・タッチな物語だと思っていた。
しかし、しかしだ…、始まって暫くすると、3人の言動に何とも言えない違和感が生まれ始めた。そして、思ってもいなかった、意外な3人の設定と展開へと導かれていった。各映画紹介でも、その部分は全く触れてないし、ネタバレにもなるため、観てからのお楽しみということで、レビューを書くのも、なかなか難しい作品と言える。
年長の広瀬すず演じる美咲は会社員、真ん中の杉咲花が演じる優花は大学生、そして、年少の清原果那演じるさくらは水族館の飼育委員、とそれぞれが仕事を持ちながら、アンティークな一軒家で、3人で暮らしていた。幼少期からの友人であり、嘗て、ある子ども合唱団の団員だった3人。大人になっても共同生活をしながら、それぞれの事を大切に思いながら、家族の様に楽しく仲良く暮らしていた。
だが、幼少期の合唱団でシーンが映し出された時、何か得体の知らない不穏な空気を感じた。世の中には、普段の何気ない日常の中で、自分が全く予期していなかったような、理不尽な事件や事故に巻き込まれて、傷つき、命を落とすこともある。『池田小学校殺傷事件』『京アニ放火事件』等、凶悪な犯罪に、無念の思いを引きずる人も多いと思う。本作には、そうした事件の恐さも絡ませながら、サスペンス的な要素も盛り込んでいる。
一方で、そこは土井監督。3人の個性と役割を巧みに取り合わせて、本当の3姉妹の様な、優しさと愛情に包まれた演出を生み出していた、また、彼女たちにとって大切な人への届かない片思いが次第に縮まって、ようやく結ばれ、なかなか踏み出せなかった次への一歩へと突き動かしていく展開は、涙を誘う。特に、優花が子供の頃に好きだった月型のクッキーを見つけた時は、頬を熱いモノが流れた。
広瀬すず、杉咲花、清原果那の3人は、朝ドラでも主役を張り、演技力も折り紙付き。それぞれの個性の違いが、役柄の立ち位置も明確にしている中で、程よく化学反応を見せてもいる。そこに、一人の青年役にとして、アカデミー賞男優・横浜流星が絡むのだから、この4人が共演するだけでも、観る価値あると思う。そして、クレジットロールに松田龍平の名前があったが、スクリーンには登場していなかった。どこで登場するのか、劇場で確認してください。
坂元裕二と土井裕泰の力技に涙する
1997年の神戸連続児童殺傷事件と2001年の付属池田小事件を意識した脚本であることは疑いない。前者については犯人の少年Aが少年院から出所したあと手記を刊行したことが下敷きとなっている。
これらの事件は社会全体に衝撃を与え今もって多くの人々にトラウマとして残る。だから本作品について激しい拒絶感を示す人がいることは理解できる。
今日の舞台挨拶を聞いた限りでは、2年前の企画段階では、3人の若い女性が一緒に暮らしているが彼女たちは現世とは異なるレイヤーにいるという設定、そして3人のキャスティングのみが決まっていたようだ。つまり12年前の事件という設定はそれ以降の脚本段階で取り入れられた。おそらく現在の脚本となるまでには制作側にもかなりの異見もあり議論されたのだろう。それが舞台挨拶で坂元が、一時は中止することも考えたという発言につながっていると思う。
ただ本作で特筆すべきは、存在しないはずのもの、つまり「不在」の立場からの視点であったり行動が語られているところにある。
存在している側では、加害者である増崎と優花の母のように憎しみはどこまでも続いて行かざるを得ない(だから増崎の「許す」とか「お互い前向きに生きる」とかいうセリフは全くの了見違いである)
でも「不在者」についてはどのような顔かたち、身なりになっているか、不在者同士でどのような関係になっているか、どこで学び、働いているか想像は全く自由である。だからこそ「不在者」はどこにでも現れ、優しく人に寄り添う。
つまりこの物語は坂元と土井が力技で描いた永遠に交わらないはずの「存在」と「不在」の交流の物語なのである。つじつまの合わないところはたくさんある。でも三人の主演級女優の力演が説得力をもたらしている。
そしてやはり交流の場面として、現役の子どもたちと、さくら、美咲、優花の3人が合唱するところが素晴らしい。
キャストつええ〜
2025年劇場鑑賞104本目。
エンドロール後映像無し。
本編終了後舞台挨拶中継付きで鑑賞。
マスコミもいないのでネタバレ仕放題はありがたかったです。
広瀬すず、杉咲花、清原果耶全員朝ドラ主演経験者ということで(広瀬すずのだけ途中離脱しちゃったんですが)1人でも主役張れる若手が3人と、キャスト強めになってます。共演は大河も絶好調な横浜流星ですし。この前クジャクのダンスで広瀬すずと共演していた西田尚美がまた出ていて混乱しなかったのかな、といらない心配も。
事前に「前情報少ない方が良い」という前情報だけ得ていて(笑)まぁもともと映画なんて前情報少なければ少ない程サプライズを楽しめるというのが持論なもので、ジャンルどころか邦画か洋画か分からないままチケット購入する事も珍しくない自分としては、予告で流れる合唱の曲いいな、くらいで鑑賞しました。
観てる途中はこれもっと引っ張ったほうが面白かったのでは?と思ったところも、早めで良かったと後に思い、それと同時にこれ最後絶対泣くんだろうな、と思っていたら案の定だよ!
なんか投げっぱなしのところもありましたが、自分は満足です。とにかく主演3人全員いい演技で、見どころ満載という感じです。
第4の壁か?
見応えがあった
好き嫌いは分かれそうだが、人を思い続ける尊さを教えてくれる
公開が待ち遠しかった
ネタバレ踏まずに映画館へGO!
タイトルのまんま。これ以外ない。
三人の想い・・
主演3女優が奏でる幻想曲
イチ推し広瀬すずの作品なので公開を心待ちにしていた。既に3回観賞。
公開前のすずの発言から予告編では隠されている何か大きな設定上の仕掛けがあることは予期していたが、観て「なるほど」。それのせいでレビューを書く時に、ネタバレ無し書くのが、こんなにも難しいと思った作品は初めて。
【物語】
美咲(広瀬すず)、優花(杉咲花)、さくら(清原果耶)は東京にある古い一軒家で暮らし、それぞれが仕事や学校に通い、気ままに暮らしている。家族でも特別な関係でもなかった3人は12年前のあることをきっかけに一緒に暮らし始め、一番下のさくらも20歳の誕生日を迎えた今、3人は強い絆で結ばれていた。
3人はそれぞれある人に伝えたい強い思いを抱いていた。
【感想】
印象をひと言で表現しようとすると難しいのだが、楽しいシーンに始まり、“!?”、驚き、切なさ、心痛む思い、胸熱くする思い、等々様々な感情を味わいながら、最後に残ったのはなんとも言えない心地良さだった。
まず、ストーリー・脚本・演出に関する感想。
物語の鍵を握る隠された設定の“仕掛け”は序盤にあっさり明かされる。終盤ではなく序盤に明かされるからこそ、彼女達が12年間抱き続けた感情や3人が胸に秘めて来た思いが存分に描かれている。
設定が明かされる前後で、3人の言動の見えかたも大きく変わって来る。明かされる前の冒頭部分では、違和感に始まり不自然さが積み重なる。遂にあるシーンでは「こんな行動あり得ないだろう」と脚本に疑問を感じるが、その直後に“仕掛け”が明かされ、違和感・疑問は氷解する。 “仕掛け”を知った上で観た2回目の観賞では、彼女達あるいは周囲の人間の不自然さは完全に解消。 このあたりは坂元脚本、さすがである。
本作の大きな特徴の1つは“余白”の多さ。観賞前に読んだ土井監督のインタビュー記事で監督は「映画は余白が大事」と考えていることを読んだ。本作は正に余白たっぷりだ。例えば中盤を過ぎると「結末はどうなるの?」が気になって来たが、用意されている結末は人によっては「それで?」と思うかもしれない。 余白を自分で埋める必要がある。
これは俺の勝手な解釈だが、 “余白”と言うのは観賞者が想像で埋める部分だ。つまり表現の“省略”の場合は制作者の意図する“正解”が存在するが、余白は観賞者が自由に書き込むスペースであって正解は無い。つまり「余白がある」は観賞者が自分の想像を自由に膨らませて、観賞者それぞれの“自分の作品”を完成形させる作品だと考えている。
余白は結末だけではない。例えば美咲の生い立ちは典真(横浜流星)によって少しだけ語られるだけ。恵まれた境遇でなかったことは分かるのだが、後で美咲本人によって家庭や両親について語られるのかと思いきや、それは最後までなく余白である。 そんな感じで3人の幼少期から現在に至るまで余白だらけ。でも、疑問だらけという印象にはならなかった。
ここまで書いてふと思った。実はすずの前作“ゆきてかえらぬ”は疑問が多く、説明不足を不満に感じた。でも、本作は説明不足とは思わなかった。説明不足と余白の差は何だろう? 思うに違和感を覚えるか否かの差ではないか。観ていて違和感があると説明が欲しくなる。本作で言うと、違和感を覚えたシーンは“仕掛け”が明かされたことで全て解消され、余白による“余韻”有っても違和感はほとんど残らなかった。実際のところ“説明不足”と“余白”の差は微妙で明確な線引きはできないと思うのだが、その匙加減は脚本・演出の妙であり、それだけ坂元脚本・土井演出の完成度が高いのだと思う。
そういう作品なので主題も分かり易くはないが、色々な要素が埋め込まれていると思う。
俺が一番感じ取ったことは、自分が他人に認識されないことがどれだけ虚しく、寂しいか。嫌われたり、憎まれたりするより無視されることの方がさらに辛いということ。一方で、ほとんどの人に無視されたとしても、たった一人でも二人でも通じ合える人が居れば、人は希望を持って生きて行けること。逆に思いが通じることの歓びも描かれている。
もう1つは、人生誰しも避けられない、望まない別れに直面することがあるわけだが、それを嘆き続けるのではなく、それぞれの境遇で前を向いて行き続けることが大切であるというメッセージも受け取った。
役者に関して言うと、
本作最大の“売り”である主演3人の生む世界が期待どおり素晴らしい。やや特異な設定の本作で前述の感想を抱けたこと、心地良い空気感を味わえたのは若手実力派と謳われる3人ならではだと思う。スクリーンを眺めていてずっと心地良いのだが、特に好きなシーンは終盤灯台で夜明けを迎えた後、地元の男が3人の前を通り過ぎて、3人が顔を見合わせて笑い合うシーン。このシーンは結末に繋がる重要なシーンだと思うが、完璧だと思う。
(すず推しの俺に言わせてもらえば)演技は甲乙つけがたいが、3人並べるとルックス的にはすずのキレイさが際立っていた(笑)
さらにもう1つ、本作を語る上で外せないのは劇中の少年少女合唱曲“声は風”の素らしさ。予告編を観たときから「いいな、これ」と思っていたが、 全編を聞くと本当に素晴らしく、感動。 オリジナル曲よいうことだが、歌詞は物語にすごくマッチしているし、曲、歌声も素晴らしく、心洗われる思い。
普遍的テーマを独創的設定の中、主演3女優が紡ぎ出した世界。 観賞の価値が十分あると思う傑作。
【すずファンだけのネタ】
いくつかあります。
1. 1週間前に終わったばかりの“クジャクのダンス誰が見た”最終回の感動シーン、父親春夫が心麦に言ったセリフ「生まれて来てくれてありがとう」を、春夫を殺した役を演じた西田尚美が今作では娘(杉咲花)に言う。見事なまでの台詞カブりにシリアスなシーンなのに「お前が言うか」と思わず笑ってしまった。本作の方が先に撮られていたはずなので、坂元さん「やられた」と思ったはず(笑) 西田さんもドラマの出来上がり観て笑ったろうな。
2. すずの過去作のオマージュかと思うほど、彷彿とさせるシーンが3つ
1)“打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?”の灯台へ列車で向かい、灯台に上がるシーン
2)“チアダン”でチームメイトと並んで叫ぶシーン
3)“チアダン”で舞台袖で仲間と声を掛け合ってから舞台へ出て行くシーン
3. すずは過去作で実父母が揃った温かい家庭で育った役がほとんど無い。今作もまた温かい家庭ではなかったみたい。すずの運命らしい(笑)
3人が創り出す世界観が実に神秘的で愛おしい
待ちに待った作品で公開記念舞台挨拶中継付き上映にて鑑賞。強い絆で結ばれた女性3人のそれぞれの片思いを描いた繊細でファンタジックなヒューマンストーリー。一推し女優の清原果耶が広瀬すず、杉咲花と奇跡の共演を果たした大注目の作品であり、トリプル主演の3人が創り出す世界観が実に神秘的で愛おしく最後まで魅了されました。
そして、劇中歌の合唱曲「声は風」は一度聴いたら忘れない心が洗われるような素晴らしい曲で今後もいろんな場面で使用されるBGMになるような気がします。
2025-54
レイヤー重なる世界
ファンタジーとリアルの隙間
普通にネタバレしてる方いるんで、何も情報を入れずに観に行ったほうが絶対楽しめます。
坂本裕二脚本で、この豪華すぎる出演者。
これは間違いないだろ!と、期待して待っていました。
でも、意外と賛否両論あるようで・・・
どんな作品かと思っていましたが、想像だにしなかった展開にオープニングから衝撃を受ける。
確かに賛否あるのも分からなくはない設定。
でも、個人的にはツボでした。
それが分かってから一気に作品に引き込まれる。
片思い世界ってそういう事かと・・・
あまりに切なすぎるストーリーではあるものの、この3人の元気な姿を観ていると、何とも温かい気持ちになり救われる。
ある設定が作品の肝になってくる為、これ以上は言えませんが、もし鑑賞予定の方ある方はネタバレが横行する前に鑑賞する事をお勧めします。
前情報を一切入れずに観た方が絶対楽しめます。
「花束みたいな恋をした」のような作品を期待していくと、肩透かしにあうかもしれませんが、この作品はまた違った形で素晴らしい作品だと思いました。
感動しました!
で、あのラジオは・・・?
タイトルに込められた意味は……
『花束みたいな恋をした』の監督(土井裕泰さん)と脚本家(坂元裕二さん)が綴る、せつなさいっぱいのオリジナルストーリー。広瀬すずさん、杉咲花さん、清原果耶さんの3人を主演に据え、横浜流星さんや西田尚美さんほか豪華キャストで観応えがあった。
脚本家と出演者(清原果耶さん>広瀬すずさん)だけで観ることが確定した映画なので、タイトルもうろ覚えだった。映画が始まってしばらくはついていけずにきょとんとしていたが、ストーリーが進み3人の状況が理解できると、タイトルの意味がわかった。
なにを書いてもネタバレは避けられないので、ストーリーについては一切触れない。ただ、主役3人の誰かのファンであれば、絶対に観るべき作品だ。もちろん、ファンでなくても観てほしい。
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