「変わらないものへの肯定的挑戦」片思い世界 カージョウ大佐さんの映画レビュー(感想・評価)
変わらないものへの肯定的挑戦
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この作品の賛否別れるところで、最大のポイントはやはり3人が「幽霊」であるという点だと思います。難しい理屈はともかくその点は受け入れられたが、どうしてもあの殺人犯のくだりだけは受け入れられませんでした。
ああいう話し方・態度で会話がまともに成立しない。更生をしたとしても根の部分は変わっていなかったという人物像はわかるのですが、あの逃走シーンと死に方はないかなあと。清原果耶が怒りのやりどころを失い叫ぶシーンがありましたが本当にその通りで、それが意図的なのだとしても映像的に車で犯人が撥ねられた末、あのお母さんが助かるという結実はコントのようでした。
まあでも物語の全体像として「変わらないもの」というテーマ性を感じられ、それは死者が生者に決して影響を与えられない。横浜流星は最後、避けていたピアノを弾くことになりますがその行動に根付くのは過去の反省と償いに由来する行動であり、そういった「不変」というテーマを徹底的に、そして大胆且つ肯定的に描こうする坂本さんらしい【マイナスをプラスにはならずともせめてゼロにする】というような言葉の実践には魅了されました。
第一線の女優御三方には目を引くものがありました。貞子のくだりなどあの辺のセリフ使いは坂元裕二さんらしく上手いなあと感心。
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