「「片思い」ってそういうことね。。。」片思い世界 ひつじさんさんの映画レビュー(感想・評価)
「片思い」ってそういうことね。。。
『片思い世界』観てきました!
ネタばれ厳禁、ということで、本日まで予告編以外の情報をまったく入れずに鑑賞。
ただ、大どんでん、みたいな展開ではなくて、割と早々に「シックスセンス」の話なのね、ということが分かる展開。
もう一回どんでん返しがあるのかと思いながら見ていたけど、とくになし。
「シックスセンス」の設定を使っていることを除けば、あとは普通のドラマ展開。もちろん、そのドラマ自体が十分に面白くて、ちゃんと泣ける映画になっています。その点は安心して観に行ってもらえる出来だと思います。そして「シックスセンス」の世界観が「片思い」というタイトルにつながっている、という。
採点するなら、5点満点の3.5点。観に行って損はない作品です。個人的にはど真ん中ではなかった分だけ、4点以上にはならないかな。
個人的に伝えたい点はいくつかあります。
まずは、さすがの杉咲花、ということ。三日月のクッキーを見て泣くところなどは、出色の演技! 他の誰にもまねできない演技力ですね。すごいの一言。
『市子』でアカデミー賞取ってもらいたかった。。。。
それから、坂元裕二は最近、科学ネタにハマっているのか? という点。
『ファーストキス』では「タイムトラベルもの」かつ「バージェス頁岩の生物群」という理系心をくすぐる設定を用い、今回は量子力学の「多世界解釈」の変形版で観客を煙に巻く。多世界解釈を論じた名著『シュレーディンガーの猫がいっぱい』を思い出した観客は僕だけではないはず。
とはいえ、その辺の設定はハードSFみたいにカッチリしてなくて、割とフワっとしてて、突っ込みたくなる人も大勢いるのでは。彼にとっては、要はストーリーテリングの一道具に過ぎないのかもしれない。(僕はキライではないです。)
あと、元気のない時の横浜流星の猫背っぷりはすごいですね。他の作品でも、キャラによっては気になるくらい猫背になる。演技のクセなのかな。
それから、「少年殺人犯」のモチーフについては、ちょっと表面的で類型的かなぁ。脚本で書きたい話の筋のために造形された人物、という感じで、人物像の描き込みが浅すぎる気がしました。作品の方向性からして、そんなものはいらないのかもしれませんが。