「とても理解しやすいエンターテイメント映画」片思い世界 BDさんの映画レビュー(感想・評価)
とても理解しやすいエンターテイメント映画
そらまぁいい映画になるでしょう。主演の広瀬すずさん、杉咲花さん、清原果耶さん、こんな子らが三人暮らししてたらご近所さんは大騒ぎやぞ!(事実、実体としては存在していませんでしたが…笑)という、見ているだけで映画になってしまうルックス、もちろんそれに留まらない実力、表現力。ボケーっと見ているだけでも全然いい。なんならエチュードで二時間でもいけるでしょう笑 この時点で「見て損した」のない映画。
加えて、ストーリーテリングのプロフェッショナルオブプロフェッショナル・坂元裕二。キャッチーな分かりやすさと驚き・仕掛け、双方を用意してくれるエンターテイメント物語の第一人者。一定のクオリティは約束されており、実際私が見た渋谷の映画館は若者で超満員。(若者よ、予告編ならまだしも本編が始まってからみんな入ってきすぎだぞ!わしゃわしゃ音するしスマホも明かりついてるしな!…と、ジジイの戯言を書き記しておきます)当然ストーリーの終盤には、若者たちの啜り泣きの声。いいじゃないですか。理解しやすいストーリー、驚きの仕掛け。なんの文句もありませんよ。見やすかったし、見てよかったと思いましたよ。
ただ、仮定の話、このキャスティングと土井・坂元でもう一段何かの化学反応を起こしたかったとしたら、それは多分難しかった。それぞれの演技と作風は二時間ずっと水平関係で漂っており、それぞれがそれぞれの仕事をして、それで十分面白い。これがこの映画の到達点。
それでも全く問題ないくらい品質の高い映画であることは確かだったんだと思う。だからこそ、「もう一つ」を期待する自分の姿があった。なにか、「あれはなんだったんだろう?」を見た側が懸命に言語化したくなるような。語りたくて語りたくてたまらなくなるような。そしてそれは、結論自分の目から見ると叶えられていなかった。
内容に関しては、とても理解しやすいエンターテイメント映画だと感じました。
この三人が幽霊であるが故に起こってしまう構造的なすれ違い。モバイルデバイスの普及以来、ドラマ内での「すれ違い」それ自体を描くことが困難になった時代だと思います。だからこそ、少しマンガ的であり、使い古されているようにも思えた設定はなかなか生きていました。それぞれの過去の想い人を探しにいく中で、生きている人たちはそちらの世界(素粒子)で過去に一区切りをつけて、前に進もうとしている。一方、三人はあの頃から前に進めていない。というか、こちらの世界(素粒子)では、幼馴染の三人以外との世界は存在せず、前に進むことが構造的にできない。それを突きつけられて絶望する三人。そうした中で、起こってはならない事件が… 三人の心地よいやり取りを見ているうちに次の展開が始まって、という見せ方もとても巧みですし、綺麗なストーリーでした。
ただ、もうこれは私が歳をとって物の見方もひねくれたってことでもあるんでしょうが笑、見ていて「理解できないこと」、個人的には1個か2個あってほしい笑 あれはなんだったんだろう? なんてことないように見えるシーンなのに、なぜ私はあんな感情を思ったんだろう?そう言った「問い」に繋がるような。
だから、個人的には「そうだねぇ、わかるわかる。うんうん」から抜け出せていなかった。「怪物」はちょっと抜け出しましたからね。なんかこう言う感覚あるんだと思います。
一応わたし、子供の頃「世にも奇妙な物語」の感動させにくる話でバリバリ泣いてたクチでしたので笑、話自体は好きでした。20代なら隣の若者同様、啜り泣いてたなあ。私の感性も違う素粒子になってしまったのかもしれませんね…
脇道ですが、伊島空さんの演技良かったです。事件から何十年も経ち、刑期を終え出所。結婚まで決まり、新しい人生を歩き出している。法律的にみたら、やってはいけないことをしているのは、「この時点においては」母。でも、必ずしもこの人は「善」ではないよね。自分と家族の暮らしを守るものとしての役割意識は少しだけ垣間見えるものの、生まれ持っての感覚のおかしさ、共感性のなさが滲み出て。話なんか通じるわけないよな、そんな奴に。それを見事に表した、ディスコミュニケーションぶりでした。(まぁ包丁持って追いかけるシーンは設定がベタすぎでしたが…笑ご愛嬌ですね)あまり認識ない役者さんですが、これを機に気にしていきたいなと思います。
トミーさん
共感コメントありがとうございます😊
そうですね、三人の世界、やりとりによる心理的摩擦の範疇では成長できるでしょうが、他無数にある社会的な成長は皆無、という空間なんでしょうね。好奇心旺盛な三人だから、仕事の振りをしてみたり大学で学んでみたりはするものの。だからこそ、見た目は成熟していてもどこか三人はメルヘンチックでふわふわしているというか。ご都合主義とのバランスもあるんでしょうけどね笑
共感ありがとうございます。
顔見知りしか居ない、他の人とは交流出来ない、見てるだけ・・これで人(ココでは死んでる人)は成長出来るんでしょうか。
あとエリック兄弟は亡くなった時の姿だったが彼女らは年を重ねている、この辺りが割と新鮮でした。
※このレビューに対してNOBUさんよりコメントをいただいたのですが、修正時に間違えてコメント許可をオフにしてしまい削除されてしまったようです…💦 NOBUさんこちらこそいつも素敵なレビューありがとうございますね。
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