「ラジオの男のせいであった」片思い世界 カモシカヤマネさんの映画レビュー(感想・評価)
ラジオの男のせいであった
『ファーストキス 1ST KISS』でボロ泣きして映画館に2度足を運び、その熱が冷める前に再び坂元裕二氏の脚本作品だと聞いて前のめりで観に行きました。
観る側がどの人物に共感できるかでこの物語の受け取り方が変わりそうです。
私は杉咲花さんと母のストーリーに注目して切なくなったり、ハラハラしたりと感情移入していましたが、他に関しては全体を通して今ひとつ共感できず、客観的な立ち位置からもう一歩前に出られませんでした。
合唱シーンは感動的だったけど、どうしても客観視してしまう自分がいて、泣くこともできずにいました。
観る前から前のめりに期待していたせいもあり、どんな終着点にたどり着くのだろうかと展開を待っていたら、目の前を素通りしてハッピーに終わってしまった印象です。
特殊な設定のせいか、主人公たちはかわいいけどクセがなく、坂元裕二氏が描く「クセモノどもの会話劇」がいまいちで、ゆるゆるしていて消化不良でした。
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その後数時間…
悪い映画ではないしとてもよかったのに、この気持ちは何でだろう、と思い返してみて、原因は"ラジオの男が言っていたこと"から始まっていたような気がします。
この映画を見た方とお話したい。結局、あれ何だったの?と思いませんでしたか?
ラジオの男の話がぼんやりとしたまま、横浜流星のストーリーから感動の合唱シーンに突入したので、この後でまだ何かの展開があるかもしれない、ラジオの男の真実がわかるのかも、、と期待してしまったんです。
エンドロールを眺めながらモヤモヤしていました。さらにまたこのエンドロールで、出演していなかった「松田龍平」の名前が流れてくるじゃないですか…
一瞬理解できなくて、似た名前の別人かと思ったりしてぐるぐる。いや、やっぱ松田龍平だよね。
「えっ?!どこに出てたの?」
観てきたシーンを頭までさかのぼり振り返り、あぁ、あのラジオの声か!えーっ!ってなってしまい、映画の余韻にも浸れなかったですよ、もう。
・ラジオの男の言っていたこと
・ラジオの男の正体
・ラジオの男を演じた俳優
これらが映画の感傷にふける妨げになっていたということです。
これ、監督と脚本家の狙いなんでしょうか?だとしたら何を狙っていたのか。
もう少し考え続けたら、読み解けるのかな。
坂元氏はこの作品を最後にしてもいい的なことをおっしゃっていたそうですが、いやいや!ダメダメ!挽回してください!という想いです。
個人的にはファーストキスの方が何十倍も面白かったです。松たか子&松村北斗&塚原あゆ子監督の相乗効果だったんでしょうか…
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