「ごめんなさい、私にはぜんぜん合わない作品でした。」片思い世界 寝落ち中尉さんの映画レビュー(感想・評価)
ごめんなさい、私にはぜんぜん合わない作品でした。
ごめんなさい、私にはぜんぜん合わない作品でした。
花束~は、大ヒットするだけあって確かによくできたエンタメ作品だと感じましたけども(好き嫌いは別として&手放しで褒めはできないけど大ヒットしたのは事実ですし)
この作品は色々な側面で粗の多い造りに感じられました。じゃあお前が撮れよと言われても困りますけど(ごめんなさい)
具体的にどのような点が?
というのを幾つか書かせていただきます。
序盤の赤ちゃんに関する描写について。
作中の登場人物たちの服装からは、少なくとも猛暑日でも真夏でもなさそうにも関わらず、なぜ主人公たちはあんなにも騒ぎ立てるのかが不可解で仕方がなかったです。映像から見てとれる範囲では気温は25度以上はあるようには思えません。しかもドアウインドウが10cmほど開いてましたよね。もちろん車中に赤ちゃんを置いて車外へちょっと用事を済ませるつもりで放置するのは良くないし、すべきではない行為です。
だけども主人公らの慌て方はこのシチュエーションに対してはちょっと異常です。赤ちゃんを育てたことが無いから断片的な情報だけで騒いでしまったのかもしれませんが少なくとも作中では主人公たちがそのような無知故に空騒ぎをしてしまったという示唆は全く見受けられず、むしろ無知な視聴者観客に誤った理解を促すような描写になっているように思えました。それ故にストーリーに対する疑念が序盤から植え付けられてしまったというのは否めません。
単純に表現すれば、彼女たちは半地縛霊・浮遊霊みたいな存在なのでしょうけども、実在の人には干渉できないとか弾かれるという設定を作中で何度も表現しているのに、ラストでなんで??ってめっちゃ気になってしまって感動どころではなかったです。(そもそも感情移入もできていませんでしたけども) 彼の心理や想いを探ろうとストーキングしつつも「そんなんじゃないよ~」って何度も否定していながら、というのもね。彼につきまとう女性はシッカリと狙い通りに うざったく表現されていたのはよかったです。
SF的な側面で言えば、近年上映されていた作品『僕が愛したすべての君へ』 / 『君を愛したひとりの僕へ』を少し連想しましたけど、3人のウチの1人が大学の講義でそれっぽい話を持ち帰るというだけで済ませていて、作品としては香りづけ程度でしょうか。
モノは実在世界のレイヤーからコピーのように手に持ったり動かせたりするけども、ではなぜ車は動かせないのか?とかも気になるポイントかな。
中盤少し記憶が飛んでるので寝落ちしちゃったかもしれません。
私がこの作品に対して最も疑念を抱いたのは
殺人犯に纏わる描写です。
確かに刑期さえ終えれば済むという話ではないのですが、わざわざ干渉しにいく母親、しかも刃物を携えて・・・って正直間抜けにも程がありませんか?
ばったり遭遇して挑発されて衝動的に・・・というようなシチュエーションならばわからなくもないですが、この母親は普通に計画性のある殺人未遂犯としての行動を採っています。それで反撃されて(正当防衛にあたります)びっくりして怯えて逃げて(自分は無垢な被害者だから反撃されないとでも思っていたのでしょうか?)追加で被害者面をして、正直このあたりめちゃくちゃ興ざめしてしまいました。元犯人のほうがとても気の毒に思えました。車外へ逆襲しに追いかけるのはやらんでもいいでしょ、とも思いましたけど、少なくとも車中のドタバタまでに関しては犯人の男のほうを応援しちゃいましたよ、逃げてー!ってね。
このあたりの描写が気にならない、という人は正直、私は怖いです。
「犯罪者だから」そういう人物の事は虫けらのように捉えているような可能性が高いからです。
無自覚な差別主義者だからこそ、スルーできるんだろうな。と。まだ世間知らずな子供ならともかく。
こちらは被害者だから相手に何をしてもいい、不幸が降ってしんでしまえばいい、できれば自分の手を汚さずに酷い目に遭ってほしい、そういうふうな観念を無自覚に抱いていませんか?
彼が車に潰された時に、微かにでも「ざまぁみろ、因果応報だ」とかスカッとしたりしませんでしたか?
被害者意識だけが前に出過ぎた善人もどきがこの世にさほど多くないことを、私は祈りたいです。
そもそもの大前提として、勧善懲悪ポルノだということが最初からわかりやすく提示されている作品なら別にいいんですけどね、マーベル系の作品とか。その手の作品は善や正義が敵をやっつけてスカっとするのがそもそもの主要な娯楽として売り出しているものなわけですから。
稀に存在する、現実に我が子を何らかの事件で失った親御さんたちには色々な側面で思う所はあるのかもしれませんけども、この作品は一応は大衆に向けた娯楽作品ですよね? そういった親御さんたちは犯人に対して言葉では表現しきれないほどの感情を身に擦り込んでしまってる事もあるとは思われますが、そうでは無い人が犯人に対して無垢な嗜虐心を抱くのは甚だしいお門違いだと私は感じます。
かいつまんで敢えて薄っぺらく言えば、殺人犯まわりの描写が 度を超して薄っぺらい。
ということでしょうか。
そのあたりの描写について、異論や疑義を抱いたりした製作関係者もおそらく居るのではないかともおもいますが、少なくとも発言力のある人たち(プロデューサーや監督自身)はそれを見過ごしたのでしょうね。
膨大な宣伝費を掛けて多くの日本中のスクリーンに映すことを前提とした作品を担うという、その責任の重さを改めて学んでいただきたく存じます。
ほかにも細々と気にかかった点はありましたけども、私的に気にかかったポイントを勝手ながら大まかに述べさせていただきました。
それぞれが一途な想いを抱き続けてそれがこの作品の重要な表現なのだろうという点については汲み取れましたけども、この作品を楽しめなくて大変申し訳ないと思いつつ記させていただきます。