「賛否が分かれてるところの「賛」側感想」片思い世界 tottoさんの映画レビュー(感想・評価)
賛否が分かれてるところの「賛」側感想
恋愛モノには食指が動かないので、坂元さん脚本にハマったのはごく最近、怪物からなのですが、怪物→死の笛→問題のあるレストラン→初恋の悪魔→1st KISSと観てきて、坂元さんの「対話と断絶」の描き方に惹かれて今作も観ました。
かわいい女子3人が仲良く楽しくおしゃれな同居生活してるっぽい宣材写真からは思いもよらない、現実世界に居場所のない幽霊たちのまっすぐ健気な『生き方』のお話で、最後の合唱コンクールのシーンはずっと泣きっぱなしでした。
起きてしまった凄惨な悲劇は覆らないし、その動機は理不尽なまま明かされないし、断絶されているレイヤーが統合される奇跡は起きないけど、耳を傾けてくれなさそうなガテン系のお兄ちゃんたちが乳児を救うのに必死になってくれたりするし、優花の欲しかったお月様のクッキーを母親がとっておいてくれるし、美咲の声は聴こえていない典真が美咲と音楽劇の脚本を読み合わせてピアノの蓋を開けるし、3人以外とは繋がっていないと思っていたレイヤーは実はストリートミュージシャンたちとは繋がってるし(美咲たち気づいてないけど)、伝わらないと諦めてたことが伝わる瞬間も存在する。
バックグラウンドも性格も違う3人には12年の『生活』で培ってきた情愛が確かにあって、その暮らしぶりがとても愛おしい。
そうしたところが凝縮されているから、最後の合唱シーンは涙腺を刺激されまくるんだろうな(劇中では音楽がほとんど流れていない分、音楽の感情を揺さぶる力が増幅されまくってるのもあるんだろうな)とは、帰宅して落ち着いてから考えたことで、観ている最中は、自分がどうして泣いているのかもよくわからない感情の揺さぶられ方でした。
観た方の賛否が分かれるのもよくわかります。
タイトルや旬の俳優揃い踏みなキャスティングにリアルなラブストーリーを求めていらした方には何これ?だろうな、って思います。
まったく受け付けない、って方は、多分リア充であんまり空想とかしないんでしょうね…。
アニメに正面から対峙する強い物語を実写で、って制作陣の意向からしてもまああり得る反応っていうか。
わたしは登場人物の誰とも経験や嗜好を一にしてないので、共感できるキャラクターとかはいないんですけど、自分と世界が乖離してるように感じる離人症状は思春期に散々味わったのでレイヤー設定が普通に腑に落ちてしまったのでした。
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