「声は風」片思い世界 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
声は風
あらすじを読んで仲のいい女性たちの同居していく中での変化とかを描くのかな〜くらいで鑑賞。
特典はポストカードで優花役の杉咲花さんでした。
予想してない方向に転がる作品でした。
タイトルの意味ってそういう…という腑に落ちた瞬間のゾワゾワっと鳥肌が立つ感じが凄まじかったです。
結構なボリュームで語りかけるし、めっちゃ人に近づくしで、距離感とか大丈夫かな?と思っていたところで幽霊と明かされて行動の全てがパッと理解できて、そんなに重い事情を抱えて生きていたのか…となりました。
その事情が分かってからは縦横無尽に動き回る3人の姿を微笑ましく見ることができましたし、幽霊なりの苦労というのを視覚的に体験できたのは良かったです。
子供の頃から意識と体はハッキリしているのに3人以外とは話もできないという切ない世界、そんな中で3人足をそろえてまっすぐ生きているのが眩しかったですし、夜中にバスケをしながら街を闊歩したり、撮影に紛れ込んでみたりとヤンチャもしながら楽しんでいるのが良かったです。
そこから3人が元の世界へ戻れるかもしれないと希望を抱き、時には衝突し、時には泣きあって、過ごしてきた年月以上に関係性を深めていく過程が素敵でうるっときました。
タイトル通りに恋煩い、なぜ殺されたのか、母への思いとそれぞれの意味の片思いが物語をグンと動かしており、それらにたくさん感情を揺さぶられました。
素粒子だったりと少し小難しそうになりそうなところをサクッと済ませる事にして本筋に引き戻してくれる感じは大いに助かりました。
ラストシーンの合唱のシーン、あれはやられちゃいました。
元々卒業式とかで歌われる合唱には弱いタチなんですが、今作は物語の積み重ねがあり、あの時3人で舞台に立てなかったことへの悔やみと同級生との共演を次元違いといえど叶えるというシナリオに見事にやられて、涙腺はゆるゆるに。
いつの時代も歌に心を救われるんだなと今作を観て改めて思いました。
未来をこれからも紡いでいくって感じのラストショットも個人的には良かったと思います。
大変に惜しかったというか残念だったのが殺人犯と優花のお母さんとの話し合いのシーン。
明らかにその接触は危険だろ…と思いつつも、復讐するならこうするしかないというのは理解できましたし、殺人犯がうまいこと追いつけないのも坂道×階段というコンビだしまぁ…と思っていたところに車がズドンとやってきて殺人犯を轢くっていうもう困ったからこの顛末にしちゃったんじゃ?という感じの締め方で、ここまであった緊張の糸がプツッと切れてしまいました。
車の運転手が出てきて心配するでもなく、突然飛び出してきたわけでもなく、ただただその場を乗り越えるためだけに事故が使われてしまったがためにどうしてもそこからは違和感しかなかったです。
緊急事態の時とかにものに触れられないのに生活に必要なものは触れられるというのはややこしい事にはなっていたので、そこらへんの辻褄が合えばな〜とは思ってしまいました。
3人の微笑ましい様子は最高に癒しでしたし、意識のある幽霊視点で描く世界というのも面白かったです。
ちょっと無理くりなところはありますが、それはフィクションでという事でなんとか飲み込みました。
世界での生き方は無限大、ちょっとスキップしたくなるような映画でした。
鑑賞日 4/6
鑑賞時間 15:30〜17:50
座席 J-6
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