「3人の女性が織りなす、究極の片思いと現実」片思い世界 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
3人の女性が織りなす、究極の片思いと現実
あまりテレビでの番宣もしていなかったし、物語の内容は全く知らず、予告編で広瀬すず、杉咲花、清原果那と言った、若き人気女優3人のレアな共演と知って鑑賞。鑑賞前までは、監督が『花束みたいな恋をした』の土井裕泰監督であるため、女性同士の固い友情と絆、そこに恋愛を織り込んだヒューマン・タッチな物語だと思っていた。
しかし、しかしだ…、始まって暫くすると、3人の言動に何とも言えない違和感が生まれ始めた。そして、思ってもいなかった、意外な3人の設定と展開へと導かれていった。各映画紹介でも、その部分は全く触れてないし、ネタバレにもなるため、観てからのお楽しみということで、レビューを書くのも、なかなか難しい作品と言える。
年長の広瀬すず演じる美咲は会社員、真ん中の杉咲花が演じる優花は大学生、そして、年少の清原果那演じるさくらは水族館の飼育委員、とそれぞれが仕事を持ちながら、アンティークな一軒家で、3人で暮らしていた。幼少期からの友人であり、嘗て、ある子ども合唱団の団員だった3人。大人になっても共同生活をしながら、それぞれの事を大切に思いながら、家族の様に楽しく仲良く暮らしていた。
だが、幼少期の合唱団でシーンが映し出された時、何か得体の知らない不穏な空気を感じた。世の中には、普段の何気ない日常の中で、自分が全く予期していなかったような、理不尽な事件や事故に巻き込まれて、傷つき、命を落とすこともある。『池田小学校殺傷事件』『京アニ放火事件』等、凶悪な犯罪に、無念の思いを引きずる人も多いと思う。本作には、そうした事件の恐さも絡ませながら、サスペンス的な要素も盛り込んでいる。
一方で、そこは土井監督。3人の個性と役割を巧みに取り合わせて、本当の3姉妹の様な、優しさと愛情に包まれた演出を生み出していた、また、彼女たちにとって大切な人への届かない片思いが次第に縮まって、ようやく結ばれ、なかなか踏み出せなかった次への一歩へと突き動かしていく展開は、涙を誘う。特に、優花が子供の頃に好きだった月型のクッキーを見つけた時は、頬を熱いモノが流れた。
広瀬すず、杉咲花、清原果那の3人は、朝ドラでも主役を張り、演技力も折り紙付き。それぞれの個性の違いが、役柄の立ち位置も明確にしている中で、程よく化学反応を見せてもいる。そこに、一人の青年役にとして、アカデミー賞男優・横浜流星が絡むのだから、この4人が共演するだけでも、観る価値あると思う。そして、クレジットロールに松田龍平の名前があったが、スクリーンには登場していなかった。どこで登場するのか、劇場で確認してください。
共感ありがとうございます。
ネタバレぎりぎり回避してるんじゃないですかね、今日観たリリコの映画コーナーでも言い淀んでたし。
通り魔に関してはアンタッチャブルな悪という考えに思えました。どうする事も出来ない単なる悪意。
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