劇場公開日 2025年4月4日

「坂元裕二と土井裕泰の力技に涙する」片思い世界 あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0坂元裕二と土井裕泰の力技に涙する

2025年4月5日
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鑑賞方法:映画館

1997年の神戸連続児童殺傷事件と2001年の付属池田小事件を意識した脚本であることは疑いない。前者については犯人の少年Aが少年院から出所したあと手記を刊行したことが下敷きとなっている。
これらの事件は社会全体に衝撃を与え今もって多くの人々にトラウマとして残る。だから本作品について激しい拒絶感を示す人がいることは理解できる。
今日の舞台挨拶を聞いた限りでは、2年前の企画段階では、3人の若い女性が一緒に暮らしているが彼女たちは現世とは異なるレイヤーにいるという設定、そして3人のキャスティングのみが決まっていたようだ。つまり12年前の事件という設定はそれ以降の脚本段階で取り入れられた。おそらく現在の脚本となるまでには制作側にもかなりの異見もあり議論されたのだろう。それが舞台挨拶で坂元が、一時は中止することも考えたという発言につながっていると思う。
ただ本作で特筆すべきは、存在しないはずのもの、つまり「不在」の立場からの視点であったり行動が語られているところにある。
存在している側では、加害者である増崎と優花の母のように憎しみはどこまでも続いて行かざるを得ない(だから増崎の「許す」とか「お互い前向きに生きる」とかいうセリフは全くの了見違いである)
でも「不在者」についてはどのような顔かたち、身なりになっているか、不在者同士でどのような関係になっているか、どこで学び、働いているか想像は全く自由である。だからこそ「不在者」はどこにでも現れ、優しく人に寄り添う。
つまりこの物語は坂元と土井が力技で描いた永遠に交わらないはずの「存在」と「不在」の交流の物語なのである。つじつまの合わないところはたくさんある。でも三人の主演級女優の力演が説得力をもたらしている。
そしてやはり交流の場面として、現役の子どもたちと、さくら、美咲、優花の3人が合唱するところが素晴らしい。

あんちゃん
sow_miyaさんのコメント
2025年4月6日

あんちゃんさん、コメントありがとうございました。
いつも練習をしていた場所で、石碑に気づく親子のうち、母親がよねさんでした。雰囲気が全然違ったので、分かりにくかったですね。

sow_miya
NOBUさんのコメント
2025年4月5日

今晩は。
 御指摘有難うございます。感謝です。あー、恥ずかしい。
 これからも、宜しくお願いいたします。

NOBU
ひでちゃぴんさんのコメント
2025年4月5日

共感&コメントをありがとうございます!激しく同意です!!合唱も、さくらがアルト、美咲・優花がソプラノ と役割が違うのもみどころでした。実際に清原さんは合唱部だったみたいですね。

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