「「声は風」にのって、。」片思い世界 アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
「声は風」にのって、。
公開初日の朝イチに観ました。坂元裕二史上最高傑作と言えるでしょう。これから観る人はテレビもネットも映画評も一切耳に入れないで観に行って欲しい。頭も心も素の状態で観ることが何より重要です。
(以下ネタバレ含みます)
土井裕泰監督は撮影期間中にスタッフとともに交通事故に遭いICUに入る程の重篤な状況になったとのこと。広瀬すず、杉咲花、清原果耶の主演3人の劇中と同じ「片思い世界」の立場を体で感じることができたのかも知れない。どのシーンが復帰後の撮影なのかはわからないが現実世界とは「別のレイヤーにいる」3人をより深く理解した絵が撮れたのではと思う。
12年も家族のように暮らしてきた3人。それぞれ会社に通い、大学で学び、水族館でバイトしてるがその姿は少し違和感がある。その理由は映画の始まりから僅か20分程のコンサートホールのシーンであきらかになる。ここで観ている我々はえっ!となり先行きを心配する(ここでついて行けないと思った人も多いのかもしれない)。しかしその後から紡がれる物語はユーモアも織り交ぜながらそれぞれの大切な人と、見えない関係性の中、感動的な展開が待ち受けていく。
12年前ツバメノートに台本を書いていた美咲の後ろにいた典真が居なくなった理由、ラジオから流れるちっと変わったメッセージ、3人を見つめてくれる亀、優花お気に入りの三日月型のクッキーなど要所に散りばめらたアイテムが絶妙に絡みながら話は進んでいき、遂に「片思いの世界」の中で美咲と典真はお互いを理解する。そして合唱のシーン。とにかく嬉しくて愛おしくて涙無くして観ることも聞くこともできません。まさに「声は風」なのです。
この合唱に辿り着く為に物語はあったのでした。
12年住んだ洋館から去った後も3人は楽しく暮らしていくと思います。
最後に、街なかで演奏をしていたムーンライダーズも3人にさりげなく手を振っていたので「同じレイヤーにいる」人たちのかもしれない、。
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