「【”深い悲しみの心を忘れない。そして夫々の再生。”或る出来事により12年間仲良く暮らす3人の女性を演じた広瀬すず、杉咲花、清原果耶と、この世界観を生み出した坂元裕二の脚本の全てが素晴しき逸品。】」片思い世界 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”深い悲しみの心を忘れない。そして夫々の再生。”或る出来事により12年間仲良く暮らす3人の女性を演じた広瀬すず、杉咲花、清原果耶と、この世界観を生み出した坂元裕二の脚本の全てが素晴しき逸品。】
■東京の何処かで暮らすミサキ(広瀬すず)、優花(杉咲花)、サクラ(清原果耶)は、夫々、会社、大学、水族館での仕事に出掛け、家では3人で食事をし、おしゃべりをする日々を送っていたが、3人には或る秘密があった。
◆感想
・レビュータイトルには書けなかったが、或る出来事が起きた時にコンビニに行っていた事で、深い悲しみの心を抱え、ピアノを弾かなくなったタカスギテンマを演じた横浜流星も素晴らしい。
・作品設定と世界観も最初は驚くが、坂元裕二の脚本が見事にまとめ上げていると思う。
・ミサキ、優花、サクラは、互いに毎朝身長を測り、夫々の居場所に出掛けて行く。ミサキとサクラはバスで暗い顔をしたタカスギテンマと一緒に。そして、ミサキがテンマを見る表情は何処か、心配げだ。
・徐々に明らかになる合唱団に入っていた幼きミサキ、優花、サクラを襲った凶事。故に彼女達は、夫々の"或る思い"を抱えながら”生きているが”優しい。車に閉じこめられた赤ちゃんを見つければ、必死にその事を道行く人々に伝えようとする姿。
自分達の様に成って欲しくないという思いだろうか・・。
・優花の母を演じた西田尚美も良い。再婚し、子供が生まれながらも、優花を忘れない心。優花はそんな花屋を営む母を見つけて、笑顔になるが、母が新しい子とクッキーを焼いている時の”自分の妹”を見るキツイ目。
だがその後の言葉”こういう気持ちが、お化けになっちゃうんだろうね・・。”が、優しいのである。
・少年法により、12年で出所した男に会いに行くサクラ。だが、その姿を見ると思わず後ずさりして地面にへたり込む。それはそうだろう・・。だが、優花の母は、決然とした表情で男に会いに行き車に乗せ、包丁を手に問い詰めるのである。”何で殺したの!”
だが、逆に男に包丁を取られ、母はミサキ、優花、サクラと共に逃げ出す。追って来た男は車に撥ねられる。”天罰だ!”と思うがその後、重傷と出る。坂元裕二の脚本は何処までも優しい。
■タカスギテンマが、合唱団の先生(田口トモロヲ)から、コンサートの際のピアノを弾いてくれないかという頼みを断るも、先生から教室の鍵を渡されるシーン。
彼は、導かれるように教室に行くのである。その後を追うミサキ。タカスギテンマは”家の事情”があったミサキのために、自分の分と二つ肉まんを買いに行っていた際に凶事が起きた事で、自責の念に駆られていたのである。
ミサキが心配していたのが、仄かな思いを持っているタカスギテンマの事であった事が分かるシーンである。だが、教室を後にしようとするテンマの前に風で飛ばされた紙とノート。そのノートには幼きミサキが、凶事の前に書いていた、仄かな恋心を抱いていたテンマと自分をアテガキしたような歌劇の言葉が綴られていたのである。それを読むテンマの表情。そして、彼はピアノに向かうのである。ミサキがテンマを抱きかかえる安堵の表情と涙・・。
<そして、合唱団の晴れの舞台に、ミサキ、優花、サクラも幼き合唱団の子供達と同じ衣装を着て、歌うのである。ピアノを弾くのは勿論、晴れやかな顔のタカスギテンマだ。(横浜流星さん自身が弾いていて、驚く。)
そして、晴れの舞台で合唱団の一員として歌うという想いを叶えたミサキ、優花、サクラは、新たな生活場所を求めて旅立つのである。
今作は、或る出来事により12年間仲良く暮らす3人の女性を演じた広瀬すず、杉咲花、清原果耶、そして、悲しみの心を忘れていなかった男を演じた横浜流星。この世界観を生み出した坂元裕二の脚本の全てが素晴しき逸品なのである。>
共感ありがとうございます。
スピリチュアル、ファンタジー系としても抑えは効いてたと思うんですが、刺さらない人には刺さらないみたいですね。
多聞のよりはずっとイイと思いますが・・。