劇場公開日 2023年11月10日

「三人の悲劇」法廷遊戯 銀婚さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5三人の悲劇

2024年1月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

「この先、理不尽な事があったときに君を救うのは知識だよ」と教わりセイギは美鈴を誘って弁護士を志す。その後のロースクールで二人には結城との皮肉な出会いが待っていた。

結城。この人物は思慮深く策略家だけれど美鈴やセイギと同じく孤独を背負って生きている。

結城はなぜ、父親が事件に巻き込まれた際の目撃者としてその時点で再審請求をかけなかったのでしょう?
時を経て、自身の命をかけて、父親の無実を証明しましたが、自身が死んでしまっては無実を証明できても再審は行われない。
犯罪者のまま?

父親の事件以降、結城の人生は「同害報復」ただ、それだけの為に生きる事になってしまい、そこに日頃ニュースでも見聞きする犯罪被害者の計り知れない悲しみ、恨み、もどかしさなどを感じました。

少し調べて見ると刑法の原点、ハムラビ法典は「目には目を…」。
しかし現社会においては刑罰の考え方も教育的になりつつあるとか。
それを承知の上でも結城がこだわった「同害報復」これが親族の胸の内というものでしょうか。心底の報復を誓った結城がセイギの友人を装う所に大石内蔵助を思い出しました。

両親の庇護を受けられずに育った美玲とセイギ。卑劣な大人と出会い、それでも生き延びて成長するために、二人で寄り添って来たのに、お金を得るため犯した罪が大きな代償となって招いた悲劇。

晴れ晴れする映画ではなく、考えさせられる映画でした。

コメントする
銀婚