「原作既読。面白かった」法廷遊戯 壮さんの映画レビュー(感想・評価)
原作既読。面白かった
クリックして本文を読む
「原作の良さが…」と嘆く感想も見つけるのだけど、97分という「短い時間で」、しかし「座らされ続ける『映像作品』」で、原作・法廷遊戯と同じように 淡々と進みつつ徐々に明らかになる狂い、気づいたら絶望に触れているというテンポ感やスパイスの匙加減を同じように感じられたので、個人的にとても満足です。
そして作品全体を通した問いかけ、メイン3人の聡明さとそれぞれの「正義」故の歪み、沼田(原作では佐沼)の底知れぬ感はよりわかりやすくキャラクター化し表現されてたのも、観る側を飽きさせない構成でよかった。
この作品は、原作もなのだが、よくある巨大な謎に挑む推理ゲームではない。
司法の上になりたつ倫理や道徳といった人間の奥深い思考へ問いかける作品である。
観終わったあとは身体がずんと重く思考の波に飲まれる重さのある内容だが、希望のある主題歌が手を差し伸べ救ってくれた。Xで主題歌を聴いて初めて完結する映画というポストを見たが本当にその通りだと思う。
美鈴は清義と一緒に生きるためだけに人を殺し、馨は復讐の対象のはずの清義に命を賭けて父親の名誉回復と司法への挑戦を託す。
永瀬廉さん演じる久我清義が馨と美鈴の合間で揺られ揉まれているのかと思いきや、幼いときはうっかり道を踏み外してしまうほど危うくも純粋な愛と優しさと正義感を持った『清義』という人物に、美鈴と馨が人生賭けて振り回されているという構図とも受け取れるなと思った。
コメントする