「97分に凝縮されたミステリ」法廷遊戯 LittleTitanさんの映画レビュー(感想・評価)
97分に凝縮されたミステリ
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清義と美鈴の過去、馨の過去、過去の真相、真犯人の意図、その意図に載ったもう1人の真犯人。真実が徐々に明かされる過程が見事。中盤まで殆ど語らない美鈴が、感情を爆発した終盤の杉咲花さんが素晴らしい。黙秘中の眼差しも、佐久間悟(筒井道隆)に向ける敵意の表情も見事。優しげな永瀬廉くんもハマり役。お花ちゃんと北村匠海くんの共演で「十二人の死にたい子どもたち」も想起したが、本作の方が何倍も完成度は高い。ただ個人的に、以下の2点はスッキリしなかった。
⚖️
①馨は命かけすぎ
作中で馨は「殺人未遂」を意図していたとも、美鈴に殺されると覚悟があったとも語られる。いずれにせよ、父の無実を法廷で証言させる為に命を賭ける。しかし、墓に遺したUSBで清義は自首を決意する。ならば、司法試験を現役合格する頭脳をもってすれば、ここまで極端な手段をとらずとも告発できたのでは? 馨の生き様は現実味が薄く、ミステリの為の絵空事に感じる。
🗡️
②罪を重ねた美鈴が裁かれない
恩人の清義を護れない事で、美鈴も罰されはする。ただ、悟を陥れた事も、馨を殺した事も法的には裁かれない。それこそが、馨の主張する司法の欠陥だとしても、最も罪が重い者が裁かれない展開はスッキリしない。
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