「少しづつ明かされる真実が切ない」法廷遊戯 じきょうさんの映画レビュー(感想・評価)
少しづつ明かされる真実が切ない
予備知識なく、評価が高かったので見ることにした映画。
題名から法廷劇かと思っていたけど、実はそうではなかった。いい意味で裏切られたなあ。
ロースクールで開催される無辜ゲームという最初のくだりで、○○ゲーム系は食傷気味だったので、まぁたこの手のヤツかとちょっと引く。しかも、模擬裁判にもかかわらず証人のみの告発と裁きという無辜には程遠い成り行きが不安を募らせる。
さて、いくつかの不穏かつ小さな事件があり、大森南朋の盗聴事件で最初のセクションが終わる。
数年たって、北村匠海演じる薫は研究者に、永瀬廉演じる主人公セイギと杉咲花演じる美鈴の運命が大きく動く。
薫は胸にナイフを立てられ、美鈴は現場に血まみれで立ち、そこをセイギが発見する。
美鈴はセイギに「無実の主張」と「弁護を依頼」する。
セイギが調査するうち、美鈴の意図と、薫の書いたシナリオが明らかになる。
悲しすぎる。
何となく「白夜行」を思い出した。
でも、きっかけになった美鈴とセイギに起きた事件は、時代とはいえテンプレ的なのが残念。そう、この話はどこか既視感のある事件を「冤罪と無罪」で繋いだ古くて新しい話なのだ。
相変わらず杉咲花の振り切った演技は「キモチワルイ」し、北村くんの親友感と悪意の同居した演技は名の通り巧み。
永瀬廉は主役にしては暗いし、終わってみれば十代の時に犯した罪で薫に裁かれるわけだ。
勝者はおらず、「ワタシが清義を守る!」と言った美鈴は、カレの正義の心による「裏切り」によって果たせなくなる。最後の美鈴のこう笑は諦観をよく表していて見事。
ただ、有名俳優が出てることで先が見えるキャスティングや、原作は知らないが恐らくエピカットにあったんだろうなという性急さが感じられたのが残念