劇場公開日 2023年11月10日

「冤罪と無罪」法廷遊戯 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0冤罪と無罪

2023年11月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

難しい

五十嵐律人原作の法廷サスペンス・ミステリーの映画化。法廷闘争らしく、展開が二転三転し、結末も最後の最後まで見えなかった。最初に、『冤罪と無罪の違いについて』の問答シーンが映し出されたが、これが本作品の柱となるテーマであることを、観終わった後に確認できた。

つまり本作の面白さは、単なる殺人事件の犯人を追うのではなく、過去に遡っての冤罪事件が深く絡み合った人間模様が描かれているところだ。そして、司法の場で冤罪を引き起こしてしまったの過ちの重さが、今回の事件の引き金となって、その『罪と罰』にもスポットが当てられて、ヒューマン・タッチな面白さも増している。

ロー・スクール出身者で大学の研究生をしていた男が殺された。その事件を巡り、同じロー・スクール出身者の3人が、奇しくも被害者・加害者・それを弁護する弁護士の立場となって、被害者死亡の中、加害者の無実を求める裁判が開かれる。審議が進む中で、被害者が隠し持っていた秘密のデーターが明らかになり、それぞれの忌まわしき過去に纏わる、人間模様が絡み合って映し出されていく。

主演のセイギ役を務めた永瀬廉は、事務所もいろいろと大変な時期ではあるが、忌まわしき過去を引きずりながらも、その感情を表に出さない淡々とした演技に好感が持てた。被害者となった北村匠は、セイギとの切なく微妙な役所を上手に演じ、永瀬を引き立てていた。そして、加害者役の杉咲花のラストシーンは圧巻。鬼気迫るものがあった。

しかしながら、物語の殆どが、主役を張れるこの3人で展開されていくので、真相こそ最後まで読めなかったが、この3人の中に真相があることは、早々に誰もが気づく。もう少し観る者が、ミスリードするような登場人物や設定を加えた方が、展開としては面白くなったのではないだろうか…。

bunmei21
bunmei21さんのコメント
2023年12月7日

トミーさん(^^)爽やかさが売りのこの3人だと、濃密な関係は、なかなか事務所的にも難しいでしょうね。

bunmei21
トミーさんのコメント
2023年12月7日

共感ありがとうございます。
中心人物の三人の絡みが、現在はスクールばかりで何か濃密さを感じませんでした。廉くんと匠海くんは(時節柄)無理だったとしても、廉くんと花さんは体の関係が有っても・・

トミー
bunmei21さんのコメント
2023年11月12日

seiyoさん(^^)そうですよね。あまりに狭い範囲でのドラマだったので、何か仕掛けて欲しかったですね。

bunmei21
seiyoさんのコメント
2023年11月12日

おはようございます。
ミスリードするようなのくだりは正しくその通りです。
私は裁判員の吐いた女性が何かあると最後まで思っていましたよ

seiyo