「邦画らしい出演陣で作る邦画らしくない作品」逃げきれた夢 うぐいすさんの映画レビュー(感想・評価)
邦画らしい出演陣で作る邦画らしくない作品
秘密の終活を始めた主人公・周平が、過去の思い出を掘り起こしたり、最期を気分よく迎えたくて「普段と違う」ことを重ねていく物語。
周平が会話する場面の多くで、相手の距離感やシーンの撮り方に違和感を覚えたため、もしかして周平にはこう見えているだけなのでは、と深読みさせられた。
周平の終活がこの方向で行くのか、また方針を変更するのか、エンディングの後が気になる作品だった。
話の構成や落としどころがフランス映画のようで、邦画らしい佇まいをした光石研さん主演で作られた邦画らしくない作品だという印象を持った。おそらく出演陣、特にベテラン陣を知らない人が観るとまた印象が違うのだろう。
本作が出品されたACID部門は「市場原理に抵抗する芸術的な作品」をとりあげる部門だと知り、納得がいった。
死生観や家族観が異なる他国版を観てみたい。
また北九州の方言をそのまま使っているセリフが多くあり、特に短いフレーズの標準語に直訳しきれないニュアンスを海外上映にあたってどう訳したのか気になった。
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