「その嘘に近い」アラーニェの虫籠 リファイン版 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
その嘘に近い
1人で制作したアニメ映画、どれだけの時間がかかったのか、考えると頭がいっぱいになってしまいます。元のアラーニェの虫籠の公開当時、存在自体は知っていましたが、近くで上映していなかったのもあり観れなかったので、今回の併映にて初鑑賞になります。
ここ最近の日本のアニメには少なかったオカルトがメインの作品で、そこに昆虫なども加わってきます。巨大集合住宅を速攻で契約してしまった女子大生が怪奇現象に襲われる物語です。
全体的に不穏な雰囲気が漂っており、常に何かしら起こるんじゃないかという不安がありますし、しっかりと驚かせるところは驚かせてくれます。ジャンプスケアはそこまで強くないので、不意な驚きは無いと思います。
巨大集合住宅が真の怪物なのかなと心の中で解釈しました。あの建物があるから虫は湧き出るし、怪奇現象で死者が多く出るし、主人公も悪夢のような時間を過ごしていますし、この後のアムリタを観てからも、やはり巨大集合住宅こそこの2作の元凶なんだろうなと思いました。
自分の読解力が足りないのもあって、難しいなと思う部分が多くありました。尺が70分強とは思えないほど中身は詰め込まれていたなとも思います。
アニメーションのクオリティはどうしても少し見劣りするところがありますが、個人制作で1から10までキャラを動かして、キャラデザもやって、構図も全部作って…こればかりは努力と功績を全力で讃えたいと思います。グロテスクな部分はしっかりと表現されていましたし、虫のデザインはとても好みだったので、坂本監督の手腕は相当なものだと思います。なんの昆虫だったかパッと分かりませんでしたが、灰色のう○こが飛んでるなーとほくそ笑んでいました。
主人公の声を花澤香菜さんが魂ぶつけて演じられており、普段の可愛らしい声から死の淵を見たかのような絶叫や悲哀に満ちた細い声、今まで観てきた花澤さんの出演作品の中でもトップクラスだったなぁと思います。
挑戦的な1作、アムリタの饗宴含め存分に震わされました。是非今後も追いかけていきたい監督です。
鑑賞日 6/1
鑑賞時間 15:55〜18:05(アムリタの饗宴と同時上映)
座席 D-4