「氷責め」セフレの品格(プライド) 初恋 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
氷責め
"ナインハーフ"で一世を風靡したカットだが、実際やってみると感覚というより、そのシチュエーションに潜れるかに拠るのではと、ま、それはあまり本作の主眼ではないので、この辺で・・・
原作未読なので、いわゆる『レディコミ』をどう監督が捌くのかをファンとして観賞した 監督が久しぶりに濡れ場も演出しているのでそれも期待大である
果して、その期待通りの作品であったと言わざるを得ない 先ず、色彩設計がバキッと赤みを帯びていて、ピンク映画出身という矜持を知らしめている 30代後半という、今ならば成熟度合いが低い年齢がそのモラトリアム状態に於いての稚拙な心の落ち着きどころを模索するという、限られた歳の寄る辺無さを描いた物語である
35~40歳代、男女に限らず、個人の意識がそれぞれ別れていく状況でのストーリーテリングは、今後の映像制作に於ける年齢設定のステレオタイプを打ち壊す、リアリティに即した作りとしては素晴らしいプロットである
ここからは自分語り
現実の道徳観、そして自分の性愛のバロメーター もっと端的に言えば周りより自分は理性と本能が狂っているのではないかという、『理想と現実』をテーマにした内容なのであろう
昨今の女優、その芸術家肌の夫、そして天才料理人の三つ巴の醜穢なコンテンツはワイドショーを賑わせた事案である 個人的にはどうでもいいというか、上級国民によるありふれた一片に過ぎない話であろう 産婦人科、家持ちの派遣社員、高給取りの夫がいる妻、その恵まれた生活水準とはいえ、それでも個人個人のかなり激しい問題の中で心の安寧を求めているプロットとして、大変興味深く鑑賞出来た
インドの50℃には及ばないが、今現在の日本の夏の気温は経済格差を否応なく分断する要因であることは間違いない 逆に極寒になる冬でも同じだ もう日本は一億総中流社会という幻想は過ぎた 金持ちはその財力により快適な生活を維持し、貧者は益々環境にコミットできずに生活権を脅かされる 室内設定温度28℃? うちでは不可能だ 今でも33℃の室内でレビューを入力している現実では、今作品の温度感が理解不能になってしまうのは、自分の経済能力欠如以外には考えられないという事実に他ならない
ーコトバンクから流用ー
〘名〙 (pride) 自分の才能や個性、また、業績などに自信を持ち、他の人によって、自分の優越性・能力が正当に評価されることを求める気持。また、そのために品位ある態度を崩すまいとすること。誇り。自尊心。
貧者にとって唯一成功者との比較上優位に立てる、抽象概念 本能よりも理性を優先させる思考は、金を使わずとも思い込める、正に"幻想"の完成形である
それぞれの社会階層の中で、その心の落ち着きどころに寄りながら何とか自死せず生きているのはその一点なのではないだろうか?・・・
しかしそれも限界がある 本能はいつだって牙を剥く 勿論能動的ではなく、タイミングや運も手伝ってのことだが、今の生活の不平不満が、願望との絶望的乖離を自覚したとき、諦観と堕落を甘受してしまう そう、いつだって経済的敗者は底なし沼がデフォルトでパッケージングされているのだ
翻って富裕層は・・・ 父親の愛人に求婚し、幸せな家庭を紡いでいる幻想がそのカラクリが発覚次第、色欲に堕ちる余裕は経済的優位性ならしめる現実である
金が有れば、欲は満たせる 資本主義万歳って訳だ 決定的倫理観欠如がベースにある社会活動である職場に於いて、未だに一緒に仕事に従事しているその心情も解らずもない だってそのほうが"楽"だから そう、結局、富めるものも失うものも"楽"という果実に投じてしまうのである
さて、今作は連作であり、次作は、この"楽"をどう回収するのか?
制作陣のお手並み拝見である・・・
こんにちは。
観てきました!
本作はレディコミ原作なんですね!
知りませんでした!
なので、人間ドラマとして鑑賞していたせいか、私としては引っ掛かりまくってしまいましたw
レディコミと分かった上で鑑賞すれば、主人公達が簡単に性欲に溺れる様は理解出来ました。
レディコミ読者の「女性の人に言えない願望?」を叶えてくれる物語りとしてはターゲットのニーズに応えていた作品だと思いました。
それならば、R15ではなくR18にしてもっと過激な描写もあっても良かったかもですw
と、書いてみましたが、鑑賞中、女性2人が途中退出していたので、これ位でも充分過激だったのでしょうかね?w
ご指摘の通り、登場人物の生活水準が平均を上回る設定にしているのも、現実の世知辛い状況下からの現実逃避という点で効果的でした。
そしてこんな事を、子の宿題を見ながら、セフレについて感想を述べている母でしたw