劇場公開日 2023年4月7日

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「"アメリカ人の大好きな物語だ" --- アメリカ人の精神を体現する"バッシュ"版『フォードvsフェラーリ』だ!!」AIR エア とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0"アメリカ人の大好きな物語だ" --- アメリカ人の精神を体現する"バッシュ"版『フォードvsフェラーリ』だ!!

2023年4月7日
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"ルールを破れば名が残る"己の信念で大胆に賭け/リスクをおかして=安全地帯から飛び出て掴み取る胸熱大逆転劇(と言ってもあくまでリアルな中のそれ)。対外的な打倒敵と見せかけて実は社内に真の対立構造があった『FvF』と違って、こちらは皆一丸となっていくのがステキ。その中で、"(自分の心の声を信じて)ただやればいい"という行動することの大切さを説く力強いメッセージが響き、アメリカの仕事にもありつけない名もなき貧しい人々という存在(=現代の移民難民)が刺さり残る。

He is the shoe... JUST DO IT.
ごくたまに現れるような類稀なる才能を持つ者の"名前"には責任がある、多くの人の夢を乗せて羽ばたく、高く飛ぶという。靴はただの靴…彼が履く(それに見合う、あるいは超えるほど活躍する)までは。彼の存在が、活躍がその靴に意味をもたらす。お小遣いや安い給料を貯めてでも買うような価値を。ケチな人まで。すごくミーハーなこと言うけどエアジョーダンほしくなった!アメリカン・ドリームで大逆転なアメリカン・サクセスストーリー。
豪華キャストに見合うだけ皆いいキャラしていて、『最後の決闘裁判』に続き立場的には明確に上下関係のある監督ベン・アフレック&主演マット・デイモン盟友コンビは見ているだけで幸せだし、ベン・アフレック演じるCEOの仏教傾倒っぷりは作品に必要な内容に沿う名言も用意しながら、クリス・タッカーにはちゃんとお喋りパートがある。
『オーシャンズ』シリーズのようにベガスに上陸し、『グッド・ウィル・ハンティング』のようにただ真直ぐ伸びる道で車を走らせるマット・デイモンが見られて、おまけにみんな大好き(?)80sソングまで内容に合った形でたっぷり聴ける(ex. All I Need Is A Miracle, Time After Time)。けど、だからこそ余計に"歳取ったな〜"とも思うのけど、それが決してマイナスな意味じゃなくていい歳の重ね方。特に今回はザ・アメリカンな中年体型で、例えば歳を取ってからのラッセル・クロウや『グリーンブック』のヴィゴ・モーテンセンなんかも少し思い出しそうな勢いで、取っつきやすさに親しみやすさ、おまけに愛らしさも?
いつも同じようなシーンに出くわしたときに思うけど、今回だったらアディダスをナチスと重ねてこきおろすシーン。現在もバリバリある一企業を明確に槍玉に上げてあんなことよくできるな、日本では無理だろ、と。そこは政治などで支持を明確にするのなんかと同じで、あくまで一個人の見解という自由な文化に根差した一種の割り切りあってこそか。

勝手に関連作品『フォードvsフェラーリ』『最後の決闘裁判』『アルゴ』『プロミスト・ランド』『ハッスル』『ザ・エージェント』『マネーボール』

P.S. 心にダンク!わが青春のマット・デイモン✕ベン・アフレック親友コンビ、『最後の決闘裁判』も記憶に新しいこの最強な2人がまたやってくれた!! しかも今回は、『ゴーン・ベイビー・ゴーン』で監督デビューしてから役者としての微妙な時期も吹き飛ばすように才気煥発しまくりなベン・アフレック本人の監督作品で。ベン・アフレック監督作品✕実話といえば、(個人的に『ゴーン・ベイビー・ゴーン』『ザ・タウン』のほうが好きだが)賞レースの釣餌感あったアメリカ賛美オスカー受賞作『アルゴ』。熱心なバスケファンじゃなくても知っているエアジョーダン、1"バッシュ"という枠組みを超えて文化カルチャーに浸透するように広く親しまれているこのシューズ誕生秘話。存在を知ってからずっと見たかった本作。共演もジェイソン・ベイトマン、ヴィオラ・デイヴィスと魅力的だけど、個人的にはマット・デイモンとジェイソン・ベイトマンが並んでいる画がなんだか嬉しかった。

とぽとぽ