「映画「愛のゆくえ」は前半がすごく良かった」愛のゆくえ 稲浦悠馬 いなうらゆうまさんの映画レビュー(感想・評価)
映画「愛のゆくえ」は前半がすごく良かった
# 映画館で観た感想・レビュー
映画館で映画「愛のゆくえ」を見てきた。
ステーションシティシネマのウェブサイトでは映画一覧は作品のビジュアルしかなく、映画詳細へのリンクもなく説明もないので、ほとんどどんな作品か分からない。
それでも「きっとこれはほっこりできるやつだろう。タイトルに愛ってついてるし」と観に行った。
# 美術的な質感
とにかく質感が良いというか、絵や構図が綺麗だ。「哀れなるものたち」もそうだったが、映画において物語も大事だが、絵そのものの綺麗さも大事だと思う。なぜなら映画は半分美術品だと思うからだ。
特に男女二人が川辺に立って話し合い、背景には水面に反射する光がきらめいており、なおかつ二人が間をとりながら話すシーンは美しくて心が洗われた。
この作品のテーマのひとつにもアートがあるし、美術に造詣のある監督が映画を作るとこうなるのではないだろうか。いや監督のことは全く知らないのだけど。
# 物語
最初からぐいぐいと引き込まれた。これはどんな物語なのかは説明的には語られず、一体どんな状況で物語がどこに向かっているかが分からない。だがそこが良かった。くどく説明されないからこそのワクワク感があった。
世の中には分かりやすく説明する映画とそうでない映画があるが、これは後者の説明しないタイプの映画だ。
特に前半は素晴らしかった。自分の好みだった。
# 後半
残念ながら後半は一気に難解な世界に突入してしまったように思う。
幻の水先案内人が出てきたり、登場人物の性別が変わったりと。
最初は拡散的に始まった物語がひとつの本筋にたどりつくのか、どういう結末を見せるのか気になったのだが、最後までまとまることがなく、散漫なままになってしまっていたと思う。
途中の突発的な恋物語は必要だったのだろうか?など回収されていない部分もある。