「素晴らしい脚本と演出の時代劇。見て良かった」碁盤斬り p.f.nagaさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしい脚本と演出の時代劇。見て良かった
プロットがよくできていると思ったら、落語が元になっているのですね。でも、落語そのままではなく、主人公柳田格之進、お絹、萬屋らの人情に共感できるように修正されていて、良い脚本だと思います。柳田格之進の武士らしい抑制的なキャラクターが時代劇らしい魅力を感じます。さらに、囲碁と武芸、美術の目利きの能力が高いという設定が話の展開を面白くします。
宿敵の柴田兵庫を斬らねば、と考えて捜しに出る理由も共感するし、捜す手がかりもうまく設定してあるし、期限を切られているところも緊張感が増します。タイトルの「碁盤切り」の場面は、本気で自己犠牲を申し出ていると感じて、涙が出ました。
夜はろうそくの灯だけの薄暗い場面が多く、そういう時代なのだとリアリティを感じます。ヤマ場の殺陣でも刀を突き刺す場面が入っていたり、一太刀だけでは死なないという場面もリアルでした。吉原の格子の中にもいろいろなレベルの女郎を描いていているし、表だけでなく裏の面も描いていて、実際にこんな感じだろうなと思いました。監督の白石さん、素晴らしい。
囲碁がわかるともっと面白いのかもしれませんが、時代劇の面白さを満喫できました。
コメントする