劇場公開日 2024年5月17日

「タイトルが秀逸」碁盤斬り 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0タイトルが秀逸

2024年5月31日
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鑑賞方法:映画館

白石和彌監督初の時代劇。持ち味のケレン味は控えめにして、自然光や蝋燭の灯で濃淡をつけた画面に、流麗な音楽を乗せて、意外なほどかっちりした本格時代劇に仕上げている。
物語は、古典落語の人情噺に、仇討ちを組み合わせたとのことだが、仇討ちパートの方が強い印象を残す。元ネタの50両紛失の嫌疑云々の描写は少し薄めに感じた。
それにしても、ネタバレになるが、タイトルが秀逸。仇討ち話を付け加えたことで、斬ったのは碁盤イコール自らのアイデンティティであり、だからこそあのラストシーンになった、という説得力を与えている。
草彅剛は、髷姿もやつれた姿も似合っていた。ただし、話し方は優しくて現代調。敵役の斎藤工も現代調。國村隼、奥野瑛太がはまっていたが、何より嬉しかったのは久々の小泉今日子。主人公が娘を引き取りに来た際のセリフには、ぐっときた。
劇場はシニア層で結構入っていた。若い人でも見やすいと思うが、今だったら、コンプラ上、人身売買の問題ありと見えるかもしれない。

山の手ロック