「GENERATIONSのプロモ映画のようでそこそこ恐いのは清水崇監督の手腕です。」ミンナのウタ 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
GENERATIONSのプロモ映画のようでそこそこ恐いのは清水崇監督の手腕です。
松竹系の映画館で予告編をやたらとやっていて、その予告編が結構良く出来ている(割りと怖い)ので、とりあえず過度な期待をせずになんとな~くな感じで鑑賞しました。
で、感想はと言うと…まぁこんなもんかと言えばこんなもん。割りと怖いと言えば割りと怖い。穴が多いと言えば穴はやっぱり多い。
「GENERATIONS from EXILE TRIBE」のプロモーション映画と言えば…そう言うこと。なんでしょうねw
清水崇監督言えば、「リング」と双璧をなす「呪怨」で一世を風靡したジャパニーズホラー監督の代名詞ですが、ここ数年は正直停滞気味で「犬鳴村」等の都市伝説ホラーシリーズも右肩下がり気味。
個人的には呪怨で蓄えた過去の貯金を食い潰した感があります。
それでも新作が公開されるとあれば、ちょっと期待はしてしまう。…で、肩透かしを食らう。まあこの繰り返しが何年か続いてますw
送られてきたカセットテープの歌に呪いが入っていたと言う設定ホラーは昭和の時代からある定番と言うか、使い古された設定。いろんなアーティストの曲に変な音や声が入っているなんて、もはや懐かしいと言った類いです。
そんな設定を使ってホラー映画を作り上げるのに、正直ツッコミところが大満載。
30年も前のリスナーから送られてきた封筒を放ったらかしされている時点でツッコんでしまうし、呪われたのが何故かGENERATIONSの面々とADだけ。曲を聴いたディレクターやスタッフが何故か呪われて無いのが謎。
マキタスポーツさん演じる探偵の権田が優秀なのかそうでないのか、霊感が有るのか無いのかが中途半端。
空き家と言えど、呪われた家のセキュリティがガバガバ。
呪いの元凶のさなの設定が不明点が多くて中途半端。
最終的に呪いは解除されたのか、まだ続いているのかも中途半端。解除されてないのなら、GENERATIONSの面々は死亡フラグ確定なのに大人の事情でそうはならなさそう。
もう、ツッコミどころが多過ぎですわ!
例えば、30年前に送られてきた番組宛のテープもGENERATIONSと関連してるなら呪われる理由は分かる。でも、30年前ならGENERATIONSどころかEXILEもまだ無いし、それこそLDHの代表のHIROさんが在籍していたZOOまで遡らないといけないが、もうそこまで行くとEXILEグループは全員呪われているとなってしまうw
だからこそ、テープを見つけた!なんて安易な理由でGENERATIONSの面々が呪われたと言うのが安直なんですよね。
呪いの元凶のさなもなんでこうなった?が薄い。
リングの貞子や呪怨の伽倻子程の設定でないにしても、設定がホント曖昧なんですよね。
探偵の権田は本来ストーリーの中核をなすキャラクターなのに、コメディタッチが過ぎていて、物語の緊迫感が物凄く薄くなっている。これはマキタスポーツさんが悪いと言うよりかはキャスティングミス。
本来マキタスポーツさんはリリースチョイス的な味付けの役の方がその個性が際立つのに、何故マキタスポーツさんに権田を依頼したかが謎なんですよね。
早見あかりさん演じるGENERATIONSのマネージャーの角田凛は良いキャラではあるけど、何処か他人事に振る舞っていて、オオゴトにすると大変だからとメンバーが行方不明なのに警察に届けない行動が有る意味、事件をややこしくしているし、大事なメンバーが勝手についてきたにしても元凶の現場に連れていくか?
いろんな部分でツッコミどころ大満載で穴も多いのに、それなりに怖いのがこの作品の不思議なところw
清水崇監督の意地と言うか、才能の賜物と言えなくはないが、良くGENERATIONSのプロモーション映画になってる割には要所要所で怖くしてるなぁと感心してしまう。
特にさなのお母さんが怖い。一番怖いと言ってもいいぐらいで、さなのお母さんに振り切った方が良かったのではないかと思ってしまうが、そうなるともう呪怨になってしまうので、清水崇監督が抵抗したのか?と勝手に深読みしてしまいます。
予告編が良く出来ているけど、これが些か劇中のネタバレになっていて、廊下で走ってくる子供がネタバレなのはマイナス。良く出来ている予告編は良いとしても、もう少し使い方を考えてほしい。
あと、警備員さんから借りたカセットレコーダー、早よ返せよw
アイドルを使うのは決して悪いわけではないけど、近年の大して怖くないぐらいホラー映画の蔓延には正直閉口してしまう。もっと尖ってもよいのでちゃんと怖い映画には巡り合いたいなぁ。
もう、リングや呪怨と言った設定も秀逸で心底怖い、日本が世界に誇れるジャパニーズホラーは無いんでしょうね…
清水崇監督も中田秀夫監督も秀逸過ぎる作品と脚本で一世風靡したけど、才能が枯渇したとは思えない。
むしろ、世間的にも凄い作品が過去に送り出している分、ハードルが上げられてしまうんですよね。もちろん自分もその一人ですが。
だからこそ、期待も凄くしますので、大人の事情を上手く組みながらも避けつつもちゃんと「恐い」作品を期待したいと思います。