「まじめか?」ビデオドローム 4K ディレクターズカット版 ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)
まじめか?
終映間際のシネリーブル池袋へ。
かの有名な、でずっと頭にあった作品。ついに、とうとう、劇場で拝むことができました。
内容はややとっ散らかってるけど、楽しかった!
基本的にはザ・フライとかスキャナーズと似たテーマ。
テクノロジーが人間の身体を変化させ、急速に進化させてしまうものの、周囲との軋轢が起こり悲劇を招く。
退屈はしないけど本題に入るまでがやや長くて、後半もバタバタ、上映時間よりも長く感じた。
しかしなんといってもドクドク脈打つビデオ、機械と同化してしまう肉体など、今なお素晴らしい特殊効果の数々。
シンセを駆使した独特なサントラ。
82年だけど街の風景はほぼ70年代の汚さ。近所でゼイリブの押し問答やってなかった?
この時代に、今なら即座にこれYouTubeのことだよね、ってなるテーマをTV、ビデオを使ってやっている。
いろんな意味で今はもう作れないけど、今でも通用するネタ。ビデオが普及しだした当時、ここまで考え抜いて映画にするなんて、クローネンバーグってすごい真面目な人なんじゃないだろうか…
かといって観念的じゃなく、全部がモノとして画面で見せられる。だからこその特殊効果の意義だし、映像として楽しむことが可能。ボディホラーの巨匠は伊達じゃなく、理念が実体化してる。
その実体がとても肌に合う感じ。
ジョーダン・ピールの「ゲットアウト」でビデオ見せられるシーンはこれのオマージュだったのかな。幻覚ヘッドギアがチェンソーマンぽい。
また洗脳映画としては「時計仕掛けのオレンジ」を思い出したり。
劇場はほぼ貸切り状態でしたが、逆にプライベートシアター気分でたいへん心が潤いました。
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