山中貞雄に捧げる漫画映画「鼠小僧次郎吉」のレビュー・感想・評価
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足を運んで良かったです
上映はユーロスペースのみ、とりあえず最終日に間に合いました。
こちらはフィルムが失われた『鼠小僧次郎吉-江戸の巻』を残された脚本を元に制作されたショートムービー。
りんたろう監督によるサイレントアニメーションです。
現場と劇中劇はキャラクターデザインが別れており、監督達は大友克洋によるデザインで良い重さ。遊び心も出ていました。
劇中劇もタッチが異なって軽妙な感じが良いです。
そして弁士には小山茉美。これも良い。
本多俊之による音楽も実にピッタリ。監督とのタッグも多く相性も良いのでしょうね。
テンポも良く見易い作り、全編を通して山中貞雄監督や日本映画への愛が強く感じられました。
山中作品は一本しか観たことがないのですが、これを機会に観たくなりましたね。
鑑賞のハードルはえらい高かったですが、足を運んで良かったです。とても面白かったです。
夢とうつつ
戦地にて28歳で病死された山中監督の作品は、監督した26本のうち3本しか現存しておらず。
完成フィルムの失われた『鼠小僧次郎吉-江戸の巻』を、遺された脚本をベースに、りんたろう監督が独創性をいかんなく発揮して作った短編映画がこちら。
りんたろう監督の山中監督への愛と、様々な日本映画へのリスペクトに溢れていました。
リアル(現実)な撮影現場と役者たちの演技からはじまり、幻想的な思考の世界に飛んで、また現実に戻ってくる構成が、なぜかフランス映画っぽかった。
日仏の特徴が混在していたのが、不思議な魅力を生んでいました。
映画、とりわけアニメーション映画というものは、夢と現(うつつ)を行き来する機能を有するのですから、「もしも戦争で山中監督が亡くなっていなかったら、どんな名作がたくさん観られたんだろう?」という気持ちと、シンクロするのかもしれません。
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