探偵マーロウのレビュー・感想・評価
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観たい度○鑑賞後の満足度△ 現代ではどうしても流血とアクションが必要らしい。だが其よりも残念なのは、マーロウものを読んだ後に去来する寂寥感と何よりもマーロウの孤高さが決定的に欠けていること。
①私の愛するアガサ・クリスティの作品(『オリエント急行の殺人』)を”実に馬鹿馬鹿しい“と思いっきりぶったぎってくれたレイモンド・チャンドラー。
でも私、そんなレイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロウものも大好きです。少し前に『プレイバック』を読み終わって、これで短編集以外は全長編を読了。
②で、そのチャンドラー原作ではないマーロウもの。別の作家が書いたものが原作らしいけど、その原作は『長いお別れ』の続編らしいから1950年代が背景の筈だが、映画化に際しては時代背景を『チャイナタウン』と同じ1930年代にしている。
はてさて如何なるフィリップ・マーロウ像、如何なるハードボイルドミステリー映画になるかと、興味半分、心配半分にて鑑賞。
②リーアム・ニーソンは柄としてはマーロウに相応しくないこともない。原作にマーロウは「背が高い」と書いてあるから。
ただ、30年代のマーロウにしては年取りすぎ。
それに所々マーロウらしさがみられるシーンもあるが全体的に見てやはり似て非なるもの。
走ったりするシーンも年齢が出てちょっと痛々しい。
③ダイアン・クルーガーはキレイだが30年代ハードボイルドミステリーのファム・ファタール役には不似合いであった。角度によってはちょっとキャロル・ロンバートに似てるところもあったが。
④そういう意味では母親役のジェシカ・ラングが若ければピッタリだったかも知れない。
まあ、彼女のキャスティング自体がある種のオマージュではあるのだが。
⑤ハリウッド製ハードボイルド映画へのオマージュがあちこちに散りばめられているのを見るのは楽しい。
それが本作の魅力とまで成っていないのが残念。
特に『チャイナタウン』へのオマージュはあまりに露骨過ぎて笑っちゃうくらい。
ハンソン役にジョン・ヒューストンの息子のダニー・ヒューストンをキャスティングしているところとか。
ニコの収集品の中に“マルタの鷹”があったりとか、その他諸々。
⑥監督はニール・ジョーダンなので演出には安定感があるし、前半の緩やかに事件の核心に迫ってゆくところはハードボイルド映画として悪くないけれども、後半はマーロウものファンとしてはちょっとビックリの展開(原作もそうらしいけど)。
事件の真相も暴いてみると、結局金と権力と野心絡みの事件で、それへの社会批判的な視点と、事件に巻き込まれた人間達への冷徹だけれども寄り添うようなマーロウの視線が欠けているのも物足りない。
⑦ミステリーファン、オールド・ハリウッド映画ファンとしては、もっと酔わせて欲しかった。
追記:アラン・カミングはつまらない役。こんな役引き受けなきゃ良いのに。
う~ん。なんか違うなと思ってしまった。
怪我をして、映画館で映画鑑賞するのは1ヶ月ぶり。60余年生きてきたが、精神の柱が折れてしまったようで、何もする気が起きなかった。
私の好きなアート系やシリアスな映画は、ちょっと辛くて鑑賞したくなかった。楽しめれる娯楽作品ならと考え直して観てみた。
フィリブ・マーロウが主人公の映画には、決定打がない。ハンフリー・ボガードやロバート・ミッミャムも健闘はしているが、ちょっと違うと思う。リーアム・ニーソンも雰囲気は良いが、歳を取りすぎている。もっと若い頃に撮ってほしかった。
マーロウとマーロイ
推理物にありがちなんだけど、登場人物が多く名前を覚えるのがちょっと大変。セリフの言い回しも文学的というか直接的でないというか、ストーリーのスピードや相関関係に取り残されまいと集中していなければならなかった。なので、これくらいの時代が舞台のアメリカ映画は好きなんだけど、その雰囲気を堪能しきれなかった。
でも、リーアム・ニーソンは好きなので是非シリーズ化してほしい、劇場作品として。
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