「オリジナルへの思い」探偵マーロウ 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
オリジナルへの思い
2022年。ニール・ジョーダン監督。「ロング・グットバイ」の続編としてチャンドラーではない作者が書いた原作があるらしい。チャンドラー作品のひねりの利いた言い回しを映像化するのは今作に限らず難しいうえに、むしろ、続編としての原作がそうなのか、模倣やパロディを意識しすぎて鼻につく感じ。母の模倣としての娘とか、チャンドラーが作り上げたマーロウ像や作品内容への自己言及とか(自己じゃないか)。それが積極的にシミュラークルと戯れるのではなく、オリジナルを求めるコピーの卑屈な態度で描かれているように思えてならない。
なによりも、マーロウなら一度徹底的に叩きのめされて半死半生状態となるところを救われ、そこから復活するのが十八番であり、それこそハードボイルドの証のはずだが、今のリーアム・ニーソンをそれを求めるのか酷なのか。もうひとつ、美しい美女の誘惑に抵抗するマーロウというのも得意なのだが、抵抗が抵抗となるためには、誘惑がひときわ際立っていなければならない。ダイアン・クルーガーには荷が重かったか。
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