「恐ろしく難易度が高すぎる…。ゾロゾロ脱落されていた方がいたのも納得…。」探偵マーロウ yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
恐ろしく難易度が高すぎる…。ゾロゾロ脱落されていた方がいたのも納得…。
今年200本目(合計851本目/今月(2023年6月度)25本目)。
※ もともと生まれつきの病気もちでコロナ事情もあり趣味が激減していたところに(コロナ事情の初期に)映画館が活発に動き出し、病気との関係で映画館が一つの趣味になってしまいました。
今年は6月末をまたずに200本の大台に乗りました。つたないレビューですが読んでいただければ幸いです。
さて、前置きはこのくらいにして。
まず結論からいうと、この映画は「見る見ないがきわめてはっきり分かれる、そもそも日本で見ることすら想定されていない」映画のように思えます。
一方でレビューサイトなのにレビューがしにくい映画です。結局マーロウでもポワロシリーズでも何でも、この手の探偵ものは「誰が犯人でしょう?」「どうやって?」というWho/Howの論点が多数を占めるところ、それを語り始めると一発アウトだからです。「ネタバレあり」にしても一クリックで間違ってクリックされる方もいますしね(この点は公式も何かガイドラインが欲しいです)。
多くの方が書かれている通り、「きわめて字幕が読みづらい」です。また、映画の背景は第二次世界大戦突入直前のアメリカで、この部分は史実なので、ドイツのナチスドイツの台頭や、第一次世界大戦がアメリカに及ぼしたこと等は常識扱いされています(高校世界史でかなり補えます)。
問題はここからで、時代をそこにするのは理解できる(そもそも原作小説がそこを舞台にしている)ものの、妙なまでに読みづらい日本語字幕で、正直センター試験の国語(現代文)でもやってるのか??というほどのマニアさです。この映画の趣旨的に小学生の子は来ないと思いますが、中学3年生くらいではちょっと厳しいです(あるいは外国人の方も。日本語検定1級合格とかなら何とかなるか、くらいで、日本語ネイティブでさえもきつい…)。
いわゆる「カタカナワード」もあまり出てこないので、英単語から類推することも許してくれずにひたすら妙なまでの古典的な字幕な上に(まぁ、大正か昭和初期くらいの有名な文豪の小説の字幕がそのまま出ている、くらいに考えるとわかりやすいと思います)、この映画、もともとはアメリカが舞台のため、突如「分詞構文では意味上の主語を明記しなければならない」といった謎の字幕が登場し、大半の方はここ(始まって50%ほど)で力尽きるんじゃないか…と思えます。この「分詞構文~」の話はそのあとタクシー?か何かに入った後延々と続くのもつらいです(ただ、出るだけでストーリーや犯人当て等には関係しないのが唯一の救い。これすら影響していると「採点拒否」レベル)。
個人的には「この時代のアメリカの人・ものの考え方(外国の諸事情)」、あるいは「当時の小説文化の在り方」という観点でみましたが、いきなり「分詞構文では意味上の主語~」という摩訶不思議な字幕が出るなど???がすごく(映画館がバグっているのかとすら思った)、かなり人を選びそうな気がします。
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(減点0.8/明確に日本で見ることが想定されていない(「分詞構文~」などの字幕))
・ 日本では今では小学校でも基礎英語を学習するようですが、それでもメインは中高の6年で、より深く勉強したいなら英文学科等に行かないと無理です。そして就職すると英検よりTOEICよりの学習がメインになるところ、そのメインの学習ではこの「分詞構文~」の意味がまるでわからず???になってしまいます(こういうときに持ってよかった英検準1級…。英検はどちらかというと学術的なアプローチが強いです)。
なお、この字幕が言うのは結局「懸垂分詞」の話です。
この懸垂分詞の話は、2022年にも突如現れて混乱させた「フレンチ・ディスパッチ」以来かな…と思います。
以下、参考までに当時のレビューで参考までにと私が記載したものを一部わかりやすく(こちらの映画の表現にあうように)コピペします。
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● 懸垂分詞
・ 分詞構文で、分詞節の意味上の主語が、主節の文の主語と同一ではないのに省略する書き方を「懸垂分詞」構文といい、アメリカ英語(=アメリカ国内では、「国語」)では非文法的とされます。
>> Looking for a theme, a good idea occurred to me.
(テーマを探しているうちに、よいアイデアが思い浮かんだ)
※ 例文引用:「ロイヤル英文法」
・ Looking for a theme の意味上の主語:「私」か、少なくとも「人」
・ a good idea occurred to me の主語: 当然 a good idea
→ この2つが異なる。このように主語が異なる分詞構文の場合、主語を文中で明示しなければならない。これが映画の字幕の「分詞構文では意味上の主語を明記しなければならない」の話です。
※ ただし、意味内容的に「良いアイデア」が「テーマを探す」ことはありえないため、「好ましくはないが、理解に妨げはなく、誤解を招かない」という扱い。
逆にいえば「テーマを探す」のが、「彼」(He)だったり、リサ(Lisa)だったりするのなら、それは書かないといけないというのは当然のことで、「私」「あなた」のように文脈上一意に決まる場合だけ省略しても構わないということです。
なお、このことが映画内で現れるように、日本語でいえば「ら抜き表現」のようなものであり、「認める立場」と「認めない立場」の争いが激しく、当時のアメリカの一般市民の識字率や文章作成能力には微妙なところがあり、また作家・新聞社でも書き方がバラバラだったので、このように「間違いやすい英語(=要は、国語)」「書き方模範集」というのは一般的に流通していたものです。