「見終わったあとに優しい気持ちにさせてくれる」はざまに生きる、春 味彩さんの映画レビュー(感想・評価)
見終わったあとに優しい気持ちにさせてくれる
障がいを扱う作品は、扱われ方によって気分が悪くなるので積極的に見ないようにしていますが、こちらは大丈夫でした。
観賞後に作品について調べていると監督のインタビューにたどり着きました。実体験を元に作られているとの事で、コミュニケーションのすれ違いのリアルさに納得しました。
手帳を持っている方、グレーゾーンの方、おそらくそのどちらでもない方、いろんなグラデーションの方が出てきます。
障がい(特性)の有無に関わらず、人とすれ違うことはよくあることで。
わかり合えたと思えば、わかってもらえてなくて落胆する。わかった気になっていたけれど、思いもよらぬことを言われて自分の驕りを知る。日常にある細やかな怒りや悲しみを掬いあげてくれているように感じました。
正確に汲み取れていないかもしれないのですが、監督が卒業論文のように作られたとおっしゃられている動画を拝見して、春が屋内さんへの恋心から卒業するというラストだったのかなと感じました。
安直に主人公がハッピーエンドになる物語ではなく、こちらに考える余韻を残してくれるところが好きです。
帰り道に少し歩きながら『はざまに生きる、春』のことを考える時間はとても優しく心地いいものでした。
素敵な作品をありがとうございました。
こちらの作品を知ったきっかけは平井亜門さんのSNSで、平井さんは最近注目している俳優さんです。
言ってしまえば平井さん目当てで観に行ったのですが、作品自体が面白く魅力的で僥倖でした。
当初の目的だった平井さんの演技は明るくフレッシュで可愛く、作品に光を注いでくれるような存在でとても好きな演技でした。
平井さんをきっかけにこちらの作品を知れて本当によかったです。