「【”鮮血の帝王、10年振りに再降誕!”キャー!ッとはあんまりならないが、ダリオ・アルジェント作品だなあ、とシミジミする作品。と共に、ダリオ・アルジェント監督が、映画界に与えた影響を少し考えるの巻。】」ダークグラス NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”鮮血の帝王、10年振りに再降誕!”キャー!ッとはあんまりならないが、ダリオ・アルジェント作品だなあ、とシミジミする作品。と共に、ダリオ・アルジェント監督が、映画界に与えた影響を少し考えるの巻。】
■ローマで娼婦ばかりを狙った連続猟奇殺人事件が発生する。新たに狙われたディアナ(イレアニ・パストレッリ)は、犯人の乗る白いバンに追われるも、ギリギリ難を逃れるが逃走中に交通事故に遭い、失明してしまう。
その事故で両親を失った施設に入っていた中国人の少年チン(シンユー・チャン)に懐かれて同居を始めるが、殺人鬼の魔の手は徐々に迫っていた。
◆感想<Caution!余り、内容に触れていません!>
・ダリオ・アルジェント監督と言えば、代表作は「サスペリア」「サスペリアPART2」「フェノミナ」である。キッパリ!
・ダリオ・アルジェント監督と言えば、多くの人は”ホラーの帝王”と呼ぶのかもしれないし、実際に今作のフライヤーにも”ホラーの帝王、再臨”と大きな惹句が書かれている。
・だが、個人的な意見では、ダリオ・アルジェント監督作品はホラーではないと思う。今作はサスペンス要素が強いが、全体的にはオカルトサスペンス映画に近い気がする。
何故、ホラーの帝王と言われるのかというと、今作の冒頭で娼婦が喉を切り裂かれ、鮮血が迸る、正に”ダリオ・アルジェント”だよ!”という”鮮血の美学”で貫かれているからであり、これはダリオ・アルジェント監督初期作品に熱狂したタランティーノ監督作品に、多大なる影響を与えているのは明らかである。
・更に、ダリオ・アルジェント監督作品に欠かせない、芳醇な抒情性とクラシカルなテイストを持つ、劇中に流れるゴブリンに代表されるイタリアン・プログレッシブの存在が、それまで低俗とみなされがちであったホラーを、官能的且つ抒情的雰囲気を持つスタイリッシュな存在としたのであると思う。(今作の音楽は、アルノー・ルボチーニが担当。雰囲気が良く出ていると思う。)
<今作が、比較的に低評価なのは確かに分かる気がする。
犯人の動機も単純だし、アッサリと撃退される所も、何だかな、なのであるが、それでも私は今作制作時に82歳だったダリオ・アルジェント監督が10年振りに公開した今作は、ナカナカだったのである。
と共に、彼の監督が影響を与えたタラちゃんや、ルカ・グァダニーノ監督、ジェームズ・ワン監督の活躍を見ると、映画界における存在の大きさを感じるのである。>