「イタリア・ローマ、赤いドレスで自動車を駆るディアナ(イレニア・パス...」ダークグラス りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
イタリア・ローマ、赤いドレスで自動車を駆るディアナ(イレニア・パス...
イタリア・ローマ、赤いドレスで自動車を駆るディアナ(イレニア・パストレッリ)。
道行く人々が立ち止まって、天空を見上げている。
何が起こるのか・・・
果たして、起こったのは日食。
不吉な予感。
ディアナは高級コールガール。
いつものように仕事をすませたある日、殺人鬼に狙われる。
巷をにぎわす猟奇的コールガール連続殺人事件の犯人だ。
自動車で逃げたディアナであったが、運悪く、交差点で他車と衝突。
相手は中国人家族だった。
ひとり軽傷だった少年チン(シンユー・チャン)は施設に引き取られ、チンを見舞ったディアナだったが、彼女は事故の後遺症で全盲になっていた・・・
といったところからはじまる物語で、ダリオ・アルジェント監督的にはオカルト要素を排し、初期の『わたしは目撃者』『4匹の蝿』などの系列の映画。
10年ぶりの新作なので、もう文句を言う筋合いではなく、「素晴らしい!」と絶賛すべきところだけれど、意外とフツーの映画に仕上がっていました。
主人公ディアナの、そのものズバリでない色気とか、チン少年との信頼関係だとか、殺人鬼に追われての逃走劇とか、演出や物語に大きな破綻はなく、かえって「あれ、アルジェント的なのかしら、どうかしらん」な物足りなさを感じないわけでもない。
音楽は70~80年代のプログレロック的で、アルジェントっぽい。
ま、破綻しているといえば、終盤、チン少年と連れたディアナが逃げる先が森の中ということぐらいか。
全然、盲目ヒロインの設定が活きないような、反撃もできないような設定。
ただし、『フェノミナ』の蛆虫攻撃に似た、川の淵でミズヘビに絡まれピンチに陥るという本筋と関係ないヒロインいじめが展開するあたりは、アルジェント御大の不変さを者がっているのかもしれません。
終盤は、ヒロイン組と殺人鬼の格闘。
遂には・・・の描写は、盲導犬協会が激怒しそうな描写ですが、アルジェント御大ですから、ご容赦願いたい。
と、傑作とか秀作とかではないけれど、それなりに満足。
ですが、若い世代にも受けるかしらん。
盲目になったヒロインを助ける女性リタ役で、アーシア・アルジェントが出演しています。