ジョーカー フォリ・ア・ドゥのレビュー・感想・評価
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独りぼっちではない「孤独」
5人の殺害容疑のため刑務所で過ごすアーサーに裁判の日が迫る。
刑務所内で出会ったリーとの妄想は、世の中の弱者、反逆者たちへ伝播する。
今回のアーサーは独りぼっちではない。
常に周りに人がいる。
そのため前作のような終始閉塞感で逃げ出したくなるような絶望は薄い。
なぜならアーサーはもう、弱者のヒーローであり、民衆の代弁者であり、憧れの存在だからだ。
社会的弱者視点で共感した前作を、そのまま期待して観ると裏切られる。
世間から「つまはじきにされる孤独」が前回なら、今回は世間から「祀(まつ)られる孤独」。
アーサーの境遇から生まれた「ジョーカー」は世に一人歩きを始め、アーサーは「ジョーカー」であることを求められていく。
「あなたは僕の話を聞いていない」というインタビューでのアーサーの言葉が印象的だ。
みんなが見たがっているのはあのメイクで、素顔のアーサーではないのだ。
ある意味今回の孤独のほうが、救いがないかも知れない。
ミュージカルシーンが多すぎるという声はその通り。
ガガに乗っ取られた感が否めないのでこの点数で。
山田裕貴の宣伝の時点で嫌な予感はしていた
ザッツ・エンターテインメント🎵
ジョーカーにレディ・ガガが出る。
そしてあの完璧な予告篇。
期待値マックス。
賛否あるレビュー、ミュージカル?
予告を超えることはないか。近場の劇場で大丈夫か。
いやいやせっかくなら、
遠くの劇場で夜の回のみのDolby Atomo上映
少し無理して観に行って良かったと心底思った。
ジョーカー完全となる。
予告篇をはるかに超えてきた。
最初のアニメーションが終わってからラストシーンまで、すべての場面が絵になる。
音楽が、音が、歌声が、光が、バカ笑いが、
脳に、胸に、心に突き刺さる。
歌声が、メロディが、歌詞の一言一句が、こんなにも心に染み込んでくるミュージカルは初めてだった。
ジョーカーとハーレィークインのダンスにうっとりする。
アーサーとリーの歌声に涙が止まらない。
こんなにも哀しいザッツ・エンターテインメントがあったろうか。
心が震える。
ホアキン・フェニックスが苦手だった。
前作も、ナポレオンも、ボーも嫌悪感が先に立ってはまらなかった。
今作は最初の痩せこけて突き出た背骨から、魅了された。
アーサーも、ジョーカーも、歌も、タップダンスも、バカ笑いさえもかっこいい。
すごい映画だ。
無敵の人
様々な意味での期待外れ
【ジョークにならない映画】
悪のカリスマとなった男のその後。ホアキン・フェニックスが初の続編に出演した理由の一つ、まさかのミュージカル演出は、物語に効果的に影響。ラストの衝撃も含めて、完成度がジョークにならない。
◆概要
「ジョーカー」('19)の続編であり完結編。第81回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品作品。
【監督】
「ハングオーバー!」シリーズ トッド・フィリップス
【出演】
「ボーはおそれている」ホアキン・フェニックス
「アリー/スター誕生」レディー・ガガ
「オール・ユー・ニード・イズ・キル」ブレンダン・グリーソン
「マルコヴィッチの穴」キャサリン・キーナー
「デッドプール2」ザジー・ビーツ
「ゲーム・オブ・スローンズ」リー・ギル
【製作費】$200,000,000
【公開】2024年10月11日
【上映時間】138分
◆ストーリー
理不尽な世の中で社会への反逆者、民衆の代弁者として祭り上げられたジョーカー。そんな彼の前にリーという謎めいた女性が現れる。ジョーカーの狂気はリーへ、そして群衆へと伝播し、拡散していく。孤独で心優しかった男が悪のカリスマとなって暴走し、世界を巻き込む新たな事件が起こる。
◆
◆以下ネタバレ
◆
◆アーサーvsジョーカー
ジョーカーが自身の影と一悶着するアニメで始まる冒頭。ホアキン・フェニックスは、本作が「アーサーvsジョーカー」の物語だと語っている。あのアニメが示していたのは、本作で描かれる、アーサーが自身に宿るジョーカーと対峙する図式そのものだった。アーサーは妄想の世界で幾度もジョーカーと化し、自身の弁護もジョーカーの力を借りんとばかりにその姿を変える(ジョーカーの姿でも“バカ笑い”が出る際はアーサー、“バカ笑い”がアーサーかジョーカーかを判別するフラグになっていた)。唯一の友人であるゲイリー(妄想の結婚式でも唯一列席していた)に精神的な重荷を背負わせた事に気づくと、ついにアーサーはジョーカーと決別する事を決意する。しかしそれが皮肉にも、愛したリーの熱を冷めさせてしまう、アーサーの理不尽で不幸すぎる運命には本作でもひどく心が痛んだ。
◆リー
そんなリーという存在が登場する事で、一時的にではあるがアーサーの心が安定した事と、ミュージカル調に仕立てるという抜本的なアイデアが生まれた本作。ホアキンは「誰がジョーカーを題材にミュージカル映画を作ろうとするだろうか」とまで語っている。タップダンスまで披露してしまうほど(初めて練習したそう)、アーサーの心の絶頂が伝わるようで、それは逆に決別時の落差に繋がり、効果的な演出になっていた。ガガもやはりシンプルに歌が上手い。あの大階段で別れを告げられるシーンが特徴的。登場人物が連鎖して歌い踊り出すのがミュージカルの通例ながら、歌うのを止めるアーサーと歌い続けるリーという、何気に見たことの無い世界観が本作でしかできない演出だと思った。
◆フォリ・ア・ドゥ
アーサーにジョーカーのメイクを施すリー。面会室ではガラスに赤を塗り、ジョーカーの笑顔を求めた彼女は、結局はジョーカーとしてのアーサー、もしくはアーサーの中に宿るジョーカーを愛していた。サブタイトルの「フォリ・ア・ドゥ」とは、妄想が伝播する精神病を意味するそう。リーはまさに、ジョーカーが発信した悪が伝播した存在だった訳で、その発信元が消えた途端に彼女の病が消え失せるのも頷けた。ラストでアーサーを刺した囚人(記憶の限りでは、劇中で2度ほどアーサーへ羨望の眼差しを向けて登場していた)も同様。“ジョークを思いついた”と、まさに“ジョーカー”になりきろうとしたあの囚人がアーサーを刺した訳こそ不明だが、倒れたアーサーの後ろで囚人が行っていたのは、自らの口をナイフで裂いているように自分には見えた。つまりジョーカーに形からなりきろうとした訳で、直後のタイトルの通り、彼もまた「フォリ・ア・ドゥ」の存在だった。正解は分からないし、いわゆる“委ねる系”のラストではあったが、解釈続きでもう一つ。最後に面会に来たのは誰か。大階段で別れを告げられた時、心から愛した人との決別にアーサーに出て当然の“バカ笑い”が出ていなかった事を考えると、あのシーン全体が妄想である解釈も可能だと思う。もし面会人がリーであったなら…。直前で息絶えたアーサーの、やはり不幸すぎる運命に心が痛む。
◆関連作品
○「ジョーカー」('19)
前作。第92回アカデミー賞主演男優賞、作曲賞受賞作品。 Netflix配信中。
◆評価(2024年10月11日時点)
Filmarks:★×3.4
Yahoo!検索:★×2.8
映画.com:★×3.0
ただただ愛情が欲しかっただけなのに…
ダークナイト知らないなら駄作になる
アーサー
これはアーサー・フレックという男の魂を救済する映画である。カッコ悪く、ひたすらに惨めで痛々しい。でも後味はそれほど悪くない。
まず前作とこの作品はバットマンとはあまり関係ない。前作にはブルース・ウェインとその父母、本作にはハービー・デント検事(まだ検事補)が現れるがこれはゴッサムシティの点景というべきものであって、アーサーは街に溢れるピエロ装束の者たちの一人に過ぎず、バットマンシリーズの悪の権化ジョーカーとは別人格である。ただ彼が犯した犯罪(6人殺した)は大きなものであったためヒーローとして祭り上げられてしまった。
一方、前作では、どこまでが現実でどこまでがアーサーの妄想なのか解釈が分かれていた。これについては本作でキチンと整理されており、生放送内のマレー・フランクリン殺害も実際に起こったこととして扱われており、これらの犯罪についての法廷劇となっている。
ところで演出のトッド・フィリップスによると、前作は2019年の作品であり世界はそのあとコロナ禍に見舞われた。企画立案に不自由を強いられるなか、トッド・フィリップスと脚本のスコット・シルバーが気にしていたのは彼らと(そしてホアキン・フェニックスが)生み出したアーサーをこの後、どのように描いていくかであって、コロナの期間、議論を重ねていたとのこと。
法廷では、アーサーとジョーカーの人格乖離があってアーサーには責任能力がないと主張する弁護側と、それを否定する検察側が対立する。ところが不利になることは十分分かっていて、アーサーが弁護士を解任し、ジョーカーのペインティングをした上で自分で弁護を行うことによって法廷は混乱する。さらに、ジョーカーの偶像性を崇拝するリーが関与することによって話はどんどんややこしくなるのである。
だが、最終的には、アーサーが自分のジョーカー性を否定することによってこのストーリーは収れんする。優しく、純粋なこころを持っているアーサーは、偶発的であったり、一時的に怒りをコントロールできなかったりしたとしても、暴力を起こすことに耐えられない。だから恋を失い、クソな世の中に押しつぶされて、最終的に電気椅子に座ることになっても、自分がアーサーであることを選ぶ。トッド・フィリップスらが議論の末たどり着いたアーサーの人生ってそういうものだったのだと思う。
最終シーンは悲しくつらい。ただここでアーサーがジョーカーの扮装をしていないということにはなにか清々しい感じを受けたのである。
〜おまけ〜
裁判所の外側大階段でジョーカーとリーが足を広げたり振り上げたりして踊るシーンは予告編だけのシーンだったのですかね。本編には出て来なかった。ちょっとがっかり。
これが人生だ
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