「煙草の煙の美しさ」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ 奏さんの映画レビュー(感想・評価)
煙草の煙の美しさ
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※前作を観る前に
先にフォリアドゥを観ました。
今年観た映画の中で一番考えさせられる点の多い映画だった。
ミュージカルシーンはアーサーの本心が見えるシーンで良かったと思う。
また作中に出てくる煙草の煙が美しく印象に残った。
観る人によって感想はかなり変わる映画だろう。
恐らく自己肯定感が高い人には響かない映画なのでは。
刑務所、裁判などのシーンの連続のため
全体的にトーンは暗いが、
一つ一つで面白くないシーンはなかった。
だが何よりもラストシーンが辛い。
評決後の爆破で思いがけない展開となった所から
リーとの別れは哀しいものの納得できたのに、
あのラストシーンで一気に気持ちが落ち込んでしまった。
「ジョーカー」としてでしか他人に認められず、
幼少期から辛い思いをしてきたアーサーへの救いが
結局なかったため、とても後味が悪く感じてしまった。
殺人は許されることではないものの、
ありのままのアーサーを受け入れてくれる人が見つかって欲しかった。
アーサーはジョーカーとなる事で
抑圧されていた気持ちが解放されるが、
アーサーの場合のメイクのような「何か」が
自分だけの武器となるような気持ちはよく分かる気がする。
自分も(知らぬ間に)他人を見下しているかもしれない。
そういう歪みがジョーカーを生み出し、
そして他者に神格化されてしまった。
ありのままの自分を分かってもらえなかったアーサーの辛さが心に刺さる映画だった。
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