「サブタイトル詐欺」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ たくむしさんの映画レビュー(感想・評価)
サブタイトル詐欺
フォリ・ア・ドゥとは、「感応精神病」のこと。このことを知って、私はジョーカーとハーレイが一緒に暴れまわる作品を期待した。ジョーカーの妄想がハーレイに伝染して、ゴッサムを混乱に陥れる的な。だが実際にはそんなことはなかった。期待とは違う結末が描かれたので、あまり評価はできない。海外で酷評なのも頷けるなと思った。
本作の大まかな流れは、①前作で収監されたアーサーの様子→②ハーレイとの出会い→③裁判→④裁判所からの脱出→⑤アーサー死亡である。ジョーカーは暴れません。
①から③で、自分はアーサーかジョーカーか揺れ動きながら妄想が伝染したハーレイのおかげでジョーカーだと認めればよかったものを、最終的に出した答えは「自分はジョーカーではない」という答え。そもそもこの答えに至った理由もよく分からなかった。直前に監獄仲間が看守に殺されてしまう展開があったので、前作と同様に虐げた者への復讐をするんだなと思ったのでそう強く感じた。そうじゃないだろ。今こそジョーカーになるべきだと。
④は実に雑な展開だった。裁判所が突如爆破され、アーサーは脱出できたが、爆破された理由が「どこかの誰かが仕掛けた爆弾のおかげ」。それはないだろうと。ハーレイが適当に爆弾魔を抱きかかえて指示したとかの方がまだマシだった。
で、最後の⑤。監獄でジョーカーに憧れてたらしい自称サイコパスが失望して刺殺する展開。死ぬ直前にアーサーはミュージカルで「自分の思想を子供に継がせたかった」と吐露したが、え?そうなの?としか思えなかった。そのサイコパスが次のジョーカーになるのを匂わせてたらまだ許せたけど、ぽっと出のキャラにいきなり殺されるのは実に残念だった。演技が良かっただけに本当に残念。