「期待度◎鑑賞後の満足度○ 『JOKER,』とはあるindividual を指していたのではなく、伝播する「狂気」「妄想」というphenomenon を指していたというオチの付け方。」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
期待度◎鑑賞後の満足度○ 『JOKER,』とはあるindividual を指していたのではなく、伝播する「狂気」「妄想」というphenomenon を指していたというオチの付け方。
①DCコミックスの「ジョーカー」というのは誰もが知っている確立したキャラクターなのに、あんな最後を迎えさせるとは誰も予想していなかっただろうから、もうトッド・フィリップ監督は確信犯というしかないだろう(前作から意図していたかどうかは分からないけれども)。
後から思うと、冒頭のアニメはこういう結末になることを暗に示していたのかも。
②映画としては、ミュージカルという体裁にしたせいかドラマ的に前作ほどの緊迫感はなくややタルい(前半はまだましだけれども)。
ただ、大好きな『Bewitched, Bothered and Bewildered』をアーサーが歌うシーンには感激したし、『(They Long to Be) Close to You』はどのシーンで使われるのかと思っていたらあそこで使ったのもなかなか良かった。
で、★★★⭐が妥当かと思ったが、上記のシーンの他、『That's Entertainment 』『There Is No Business Like Show Business』『Get Happy(どうしてもジョディ・カーランドが歌い踊るシーンが脳裏に蘇ってしまう) 』等懐かしいミュージカルナンバーがそこかしこで流れるので⭐一つオマケ。
③「狂気」というショーを始めた者がそのショーから降りた時に訪れる末路の姿と、それでも一度始まった「狂気」というショーは続いていく、ということを描いた映画だと思うが、もう少し穿った見方をすれば、あのラストはアーサーの役目(ショーを始める)はショーが始まったのでもう必要なくなり用済みとなった姿であり(結局アーサーに戻ってしまったし)、『JOKER 』という「狂気」の虚像によるショーが止まらなくなった(裁判所の爆破シーンが、その切り替わりを象徴するシーンだと思う)、誰もがJOKERになる、なれる世界が始まったということだと思う。
④も一つ想像を働かすと、リーが生んだ子どもが本当の「JOKER」になるのかも。
更に深読みすると、彼女は実はアーサーの種(DNA)が欲しくて近づいたのかも、つまり本作は“HARLEQUINE=JOKER=JOKERの母 ”の話なのかもしれない。
⑤鑑賞しながら思ったこと。ミュージカルという形態にしたのも悪くないな、と。だって私達の日常もミュージカルみたいなもの、音楽に溢れてるでしょう。少なくとも私にとってはそう。何かするのも大概鼻歌交じりでやってるし。仕事中でも時々鼻歌歌ってます。おおびらっにしないのは一応職場ではやらない方が良いという一般社会通念に合わせてるだけ。許されるなら時々踊りたい。
私の中にもJOKERは居るみたい。