「音楽と妄想」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ 塩りんご鍋さんの映画レビュー(感想・評価)
音楽と妄想
映画冒頭ホアキン・フェニックスのガリガリの身体を見て役作りのためにこんなに痩せて命懸けで演じたアーサー役をしっかり見なくては…と背筋が伸びる。
1.映画開始30分後くらいに黒のスカンクのアニメを観てるシーンからミュージカル要素が出てくる。ミュージカルの場面を見た瞬間「ああ、これはアーサーの妄想だな」と感じる。
2.その後のミュージカルや音楽が流れるシーンは全てアーサーの都合のいい妄想。現実逃避と解釈。
3.後半の長い階段のシーンでレディーガガ演じるリーが歌い出すシーンでアーサーは「もう歌いたくない、歌わないでくれ」と言う。その言葉の意味は「君を妄想にしたくない。妄想じゃない現実の君と話したい」という意味なのかなと思い少し切なくなる。
4.その後、警察に連行され留置所に戻ったシーンで1の場面と同じ黒いスカンクのアニメを観ているシーンに。映画を見た私は「もしかして今まで見せられていたものって全て妄想?」と思う。本当は1の場面から時間は進んでいなくて今まで見ていたものはアーサーの頭の中で自分が幸せになるための妄想だったのかと。
アーサーは自分の頭の中で妄想した世界の中でも幸せになることはできずにいたのか。自分が幸せになる想像ができなかったのか。幸せになるためのやり方が分からなかったのか。自分はジョーカーではなく社会的弱者で頭が悪くて誰にも好かれないと言うことを心のどこかで理解していたから妄想の中でもその要素が出てきてしまったのか。
私には難解すぎて分からない要素がとても多かった映画でした。
最後の絶命したアーサーの顔は笑っているように見えてジョーカーのメイクをしていないのにジョーカーに見えたのが怖かった。